第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 46 - 闘いへの流れ
第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 46 - 闘いへの流れ
ここからなら、車で移動してもそれほど時間はかからない。
さすがに大統領官邸近くで飛んでいくのは目立ってしょうがないので、地道にいくことにする。
「わかりました。伝えておきます。ただ、今からだとどう早くても一時間ほどかかりますがいかがいたしますか?」
ナジュが言ってきたが、だからといってどうしようもない。
その間に別の用件をすませることにする。
「わかった。一時間後、事務所に待機させてくれ。それと、すぐにチームを編成したい。腕のあるパイロットを三人探してくれ」
俺は新たな指示を出すと。
「それに関しては、すでに候補リストを用意してあります。この中から指名してください」
直後にナビリは俺の端末に候補者リストを送ってきた。
実に手回しが良い。
俺はその中から三名を選択し、送り返す。
「了解しました。彼らとの雇用契約を進めます。派遣場所はインレグレード社のラポでよろしいですね?」
俺の意図を完璧に汲んでいるようだった。
つくづく使える秘書である。
というか、名目だけが秘書であって、ほとんどパルテノ社の中核に等しい。
「それでいい。では、一時間後に会おう」
俺はこれで回線を切る。
さて、この一時間で一通りの雑用をすませておくことにする。
一番近くの喫茶店に入り、そこで端末を開く。
もちろん、政府ネットワークを利用するためである。
アドミニストレータ権限をもらったので、いかなる情報をも閲覧し放題だ。
とはいえ、必要な情報は限られている。
あの時白ハクにもらった英雄の情報。それに関連するパーソナルデータだ。
当然後でなんのために検索したのかという政府機関による調査はあるだろうが、その調査が実ることはないだろう。彼らは白ハクの存在を知らない。
それはどうでもいいのだが、おかげでソーグ帝国とラートラ共和国双方の英雄に関するデータを入手することができた。
つまり、全ての英雄に関するデータを揃えることができることになる。
もちろん、俺にとって彼らは敵などではない。
白ハクが英雄同士を敵として争わせそうとしているが、俺がそれに付き合う必要はないからだ。
俺の目的はこの醜悪なゲームをやっている存在を特定して、全ての責任をとってもらうことだ。
おそらくは神域の存在。すなわち高次元の存在である。
最悪の場合、直接力と力の闘いになる。
それを想定して、できる限り知的生命体への影響を極小に抑えた闘が可能となる舞台を設定しなくてはならないだろう。




