第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 42 - ローグ・ハウンゼン大統領
第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 42 - ローグ・ハウンゼン大統領
「たぶん必要はないと思うが、私は共和国大統領ローグ・ハウンゼンだ。そして、そこの男は君に接触させたマシマ・クロウド。とりあえず、挨拶はこれでいいな。さっそくだが、全員揃った所ですぐに始めよう」
大統領自らが中心になってこの場を仕切りだす。
どうやら、俺が知らない何かが始まりそうだ。
「まず最初に、君が持っ込ている情報を確認しておきたい。情報の真偽はすでに裏をとっているが、君の口から直接詳細を話してもらいたい」
大統領は駆け引きなど一切なしに、かぶせ気味に言ってくる。
もちろん俺にはなんの問題もないので、正直に知っていることをすべて伝える。もちろん、俺が直接関与したことに関してはすべて伏せてあるが。
「……というわけです」
インレグレード社がやろうとしていたこと、それに一部政治家が関与していること。俺がやったことに関しては、ほぼ全て伏せての報告だった。
それでも、俺の話しがこの場にいる三人に与えた衝撃はかなりのものがあったらしい。
全員の表情がひどく固く強張っている。
俺が伝えた情報の中に、そういうたぐいの情報が含まれていたから当然である。
「議会内に帝国との内通者がいることは知っていたが、まさかそこまで大物議員が絡んでいるとは思わなかったな」
つぶやくように言ったのは大統領ではなく、上院議長、すなわち副大統領である。
「こんな重大な情報が、今まで私に上がってこなかったのはどういうことだ?」
制服組の最高責任者であるウイリアムズ大将に厳しい声で大統領が問い詰める。
すると、ウイリアムズ大将はポケットからハンカチを取り出して汗を拭い始める。
「申し訳ありません。なにぶん、自分も初めて聞くことでして……」
しどろもどろを絵に書いたような対応だった。
もちろんそんなことで大統領が納得するはずがない。
「君は軍を統括する役割を担っているのだとばかり思ったが違うのか? もし、この情報が正しければ帝国からの侵略を招きかねん問題だぞ? まぁいい。この場でそんなことを追求してもしかたない。今問題なのは、これからどうするのかということだ。何か策はあるのか?」
大統領は軽く釘をさした後、すぐに話しを本題に戻す。
流石に一つの銀河を統べる大統領。細かい所に執着して判断を誤るようなことはしない。
「それなら、すぐにでも容疑者を捉えて尋問し、航路の座標を特定しましょう。自分にまかせていただければ、すぐにかならず暴いておみせします」




