第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 41 - 大統領官邸
第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 41 - 大統領官邸
こんな場所で会うということは、たぶん政府がらみの話しになるのだろうという予測は立つ。
今更だが、俺はこの国の大統領のことを何も知らない。
スーツを購入した店から官邸付近まで飛んでゆき、そこで有料の自動運転車輌を拾う。
自動運転車輌に乗った俺は、官邸内部の座標を指定する。
敷地内に入る場所には検問所があり、俺を載せた車輌が停止すると、すぐに門番の男がでてくる。
俺が名乗るとすぐに通してくれた。
すでに俺を向かい入れるための準備は整っているようである。
自動運転車輌が停止した場所には、やたらとビシッとしたスーツを着ている男が一人待っていた。
俺が降りるとすぐに話しかけてくる。
「ナルセ様ですね? この度はようこそご足労いただきました。ご案内いたしますのでついて来てください」
俺に向かって一礼しながら、まずは挨拶の言葉を口にする。
スーツを着たやたらと大柄な男で、鍛えているのが服の上からでも見て取れる。しかもイケメンだ。
SPのように見えなくもないが、ガードの人間は他にいるのでおそらく補佐官辺りだろう。
建物内へと案内されて通された部屋には誰もいなかった。
案内してきた男が振り返り俺に話しかけてくる。
「申し訳ありません。ボディチェックをさせてください」
当然といえば当然だが、持ち物検査をやるつもりなのだ。
俺は両手を上げてボディチェックが終わるのをまつ。
俺の場合、武器はすべて足かせにしかならないので、あまり意味がないのだがわざわざ説明するようなことでもない。
「では、こちらに」
男は隣の部屋へと続くドアを開ける。
俺が躊躇なく隣の部屋へと足を踏み入れると、そこには三人の男がいた。
一人は正面のテーブルの向こう側にあるイスに座っていて、あとの二人は立っている。
三人とも顔は分からないが、そのうち二人が誰なのかわかる。うち一人が誰なのかはわからないが、軍服を着ているので軍人には違いないだろう。
「初めまして、私はナルセと言います。大統領閣下に、上院議長閣下ですね。それに……」
俺から先に話しかける。
待ってもよかったのだが、わざわざ相手に主導権を与えることもないだろう。
「自分はラートラ共和国軍、統合司令長官ラトラ・ウイリアムズ大将だ」
俺のことを思いっきり胡散臭い目で見ながら自分から紹介してきた。
「ナルセです、よろしく」
できるだけ笑顔をつくりながら当たり障りのない応対をする。




