第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 39 - 株価と陰謀
第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 39 - 株価と陰謀
俺の個人資産だけでも現時点で莫大な利益をあげている。
しかもまだ始まったばかりである。
戦争はこれから本格化するだろう。
つまり、株価はまだまだ上昇する。
今から買っても十分間に合う。当然俺は現時点までに増えた利益を使って買い増しておく。
どれくらいになるかはわからないが、星系をまるごと一つ購入することができる程度にはなるのではないだろうが。
もちろん俺にとっての目的は、利益をあげることではない。
ラートラ共和国で活動するための資金力にするためである。
当面は、多ければ多いほど良い。俺の目的に利用できる政治家の活動資金とするためだけでなく、ばらまくことができる資金の底を見られない程度の資金力が必要だった。
とはいえ、とりあえず俺が保有している金融資産の運用は当面これでいい。
問題はインレグレード社とパルテノ社である。
今のままだと後々問題がでて来る可能性がある。
インレグレード社の抱えている闇は俺が想像していたものよりだいぶ根深いからだ。
当然そんな会社を買収してしまったパルテノ社にも危険が及ぶ。
ジョンが集めて来ている人材は、どいつもこいつも一筋縄ではいかないような連中であるが、インレグレード社の裏にいる連中は他人を殺すことをまったく躊躇しない連中である。
ジョンにパルテノ社を任せたからといって、社員全員の命を保証することができるとも思えない。
ラポを潰すために軍を動かすような連中に、一民間会社が対抗するには荷が重すぎる。
だから、そうならないように手をうっておく必要があった。
そこまで難しいことではなく、ようは中の人になることである。
手っ取り早く手駒となりそうな政治家を見つけて、資金で縛ってしまえば当面の保証にはなる。
ただし、この道は腐敗への道そのものなので、人によっては耐えきれなくなるだろうが、ジョンが集めたような連中にそんなヤワな人間はいるとは思えない。
なので、俺としては道筋だけつけてやればそれでいい。
もちろん、俺自身はこんな所に長居するつもりはないので、これまで得た利益をすべて投入しても困ることはない。
俺が使っている端末に反応がある。
「ナルセ、連絡が取れました。相手はマシマ・クロウド。上院議長です」
俺はそれを聞いて少しばかり驚いた。
「副大統領か。よく繋がったもんだな」
思わず俺はそうつぶやいていた。
「いえ、申し訳ありません。私から連絡を取ったというわけではなく、向こうから連絡をしてきました」




