第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 31 - ラポへ
第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 31 - ラポへ
さて、ナシム・ドルシマのことはレアにまかせておけばいいだろう。
俺はラポに派遣される戦艦に対処するため、すぐにでも戻る必要がある。
外に出るのは潜入するよりも遥かに楽だ。
ずっとフェイズ2のままだったので、ただ人目のないエアロックから外に出ればそれですむ。
フェイズ2ならば、日常生活を送ることは難しくない。
さすがに寝てしまうのは危険すぎるが、起きてさえいれば完全に力をコントロールすることが可能だ。
ちなみに一桁のフェイズならばいずれも日常生活をすることは可能だが、それは意識があるときだけである。
フェイズ6辺りになると、寝てしまったあと起きたら星が一つ消えていたなどということは普通にあるりえるのだ。こんなの危険すぎて常態化できない。
ともかく、フェイズ2の状態なのですぐにラポに戻ってこれた。
まだ戦艦は姿かたちも見せていない。
ラポに戻った俺が真っ先に向かったのは格納庫である。
驚いたことに、ライジンの見た目はもう完璧に戻っていた。
俺はガシム整備班長を探し話しかける。
「すごいな。もうすっかり元通りじゃないか」
ガシム整備班長は言葉を掛けた俺を振り返りもせず答える。
「いや、まだFC関連の調整が終わってない。このままじゃオートエイミングは使えない」
厳しい声だった。
まるでその声と連動するように、格納庫にアラートが鳴り響く。
「タイテン級戦艦が接近。艦載機を射出しています」
アラートと共に、声が聞こえる。
現在管制室には誰もいないので、対応しているのは遠隔による管制だった。
もちろん俺はそれが誰か知っている。ついさっき話したばかりであった。
「班長。いますぐ出る必要がある。いけるか?」
急かすというわけではないが、一歩踏み出しガシム整備班長に詰め寄る。
「分かった。とりあえず、ガンポッドだけは使えるようにしてやる。コックピットで待ってろ」
ガシム整備班長はまったく慌てることなく、それでいて真剣に俺に指示を出してきた。
こうなったら俺としては判断するべきことは一つしかない。
「わかった」
返事を返すとすぐにライジンのコックピットに向かう。
これでまだ二度目の出撃だが、ずっと長いこと使い続けてきた馴染みの機体へ乗り込むような感覚になっていた。
乗り込むと自動的にAIが起動して、機体のスキャンが始まる。
いたる所でエラーが発生していたが、それが次々に解消しいく。
もちろんガシム整備班長とその部下達の仕業だ。




