第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 28 - 会話
第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 28 - 会話
「そこまではさすがに。ゼセトは私のことしか知りません。全ての指示は私を通して行っておりました。ビルン様とラッツ様のことは知りえないはずです」
女の声がする。
やはり俺の想像した通りの展開だった。
だからゼセトにはこだわらなかった。どのみち聞いたところで無駄だからだ。
「テストは始まっていたのではないか? 航路の存在が表沙汰になるのは絶対にさけねばならんぞ」
もう一人の男の声が聞こえる。
ビンゴであった。俺が望んでいた情報をこいつらは持っている。
「それに対しては、手を打ちます。インレグレード社のラポには戦艦を派遣し何一つ残らないように処理します。またゼセトと使っていたテスト・パイロットは誰にも話せないよう適切に処理します」
女の声が言った。
焦ったような声なのは、話しの内容によるものではなく、自分自身の保身のためだ。
それにしても、やることがえげつない。
ラポを宇宙の藻屑にしするだけでなく、誰一人として生かしておくつもりはないのだ。
もちろん俺がそんなことなどさせるつもりはない。
帰った時には、ライジンの修理が終わっているはずだし、俺自身のことがばれないようにうまく立ち回ることはできるだろう。
「わかった。全てまかせよう。だが、計画が頓挫することはないだろうな? 我々の命だけではことはすまんぞ?」
男の声が聞こえてくる。余裕を見せそうとはしているが、かなり追い詰められてるのは隠しようがない。
「機体のデータその他すべて、フィードバックされております。元々、計画が終了する前段階では切り捨てるつもりでおりましたから」
なるほど、最初からゼセトとテスト・パイロット達は全員殺される予定になっていたわけだ。
これに関しては不思議でもなんでもない。
情報の価値を考えれば最初から自ずと一つの答えに到達したはずだ。
「では、最終フェーズに移れるか?」
また男の声が聞こえる。さっきとは別の男の声である。
「データはまだ完全とは言えませんが、十分に可能です」
女は自信を持った声で断言する。
「よし、ならすぐに最終段階に移行してくれ。それと同時に、インレグレード社を買収した会社と人物のことを調べてくれ。出来る限り早急にだ」
男の声が女に指示を出していた。
最後の話しは俺のことだ。
忘れてはいなかったようである。
俺としてはどうでもいいが。




