第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 27 - スニーキング
第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 27 - スニーキング
シャフトは外壁を支える役目をしているだけではなく、無重力空間を利用した様々な施設が存在している。
おそらくその施設の一つにいくつもりなのだろう。
俺は気を探りながら外から着いていくと、十キロほど移動した所で動きが止まった。
ここで間違いなさそうだ。
中に入らないといけないのだが、さすがにシャフトを破壊するわけにはいかないので、穏便に入る方法が必要だった。
周囲の気を探り、シャフト内に入ろうとしている飛行ユニットを見つける。
その飛行ユニットに張り付いて、一緒に中に侵入した。
一旦中に入れば後は簡単だ。
ターゲットがいる場所まで移動する。
無重力空間なので、気を使って移動していてもまったく目立たない。
特に身を隠す必要もなく、近くにまで来ることができた。
そこは閉鎖区画となっており、全ての人間が出入りすることを禁止されていた。
本来ならば、この区画には誰もいないはずであった。
だが、俺は気を捉えている。
それも複数。
何者かがここにいて、利用しているのは間違いない。
さて、ここからが本当のスニーキングミッションだ。
外壁と違って区画を区切っているのは単なる壁であり、破壊してもコロニーの安全に問題はないので遠慮なくやることにする。
ただ、目立つようにやるつもりはない。
閉鎖区画といっても、換気ダクトは存在している。
そのダクトに潜り込むための道を作ればいいだけの話しだ。
誰もいない部屋に入ると、そこにある換気装置を破壊して、奥へと続く換気ダクトに潜り込む。
後は気をさぐりながら、複雑に伸びるダクト内を這い進む。
気がすぐそこに感じられる位置まで近づくと、換気装置を通して声が聞こえてきた。
部屋の中に人がいる。
全部で三人。
一人は俺がつけてきた相手であり、他の二人は今の所誰かはわからない。
今は黙って様子をみた方がいいだろう。
「ああ、確認は取れた。間違いない、すでにインレグレード社は買収されている」
一人が言った声からするに男である。
「それで、ダグラス・ゼセトとは連絡は取れたのか?」
別の声が言った。これも男だ。
「いえ、一度ゼセトからメッセージは来ましたが、それっきり連絡がとれません」
さらに別な声がする。女の声だ。内容からするに、俺が追ってきたターゲットである。
「まずいな、我々のことは、どこまで知られている?」
最初に聞いた男の声だ。焦っている感じが伝わってくる。




