第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 26 - 仕掛け
第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 26 - 仕掛け
入り口横の外壁を叩いて調べながら一番薄そうな場所を探り当て、そこを狙っている監視カメラは全て小石を投げて潰しておく。
後はできる限り静かに壁をぶち抜くだけだ。
さすがに、まったく音がしないというわけにはいかなかったが、よほど耳をすまさないとわからないレベルではある。
こういうことが出来るのもフェイズ2での特典だろう。
気を探りながら人のいない場所を特定して、床をぶち抜き下への道を作る。
これで潜入できたわけだが、問題なのはここからだ。
ここにいるはずの人物を探し出さなくてはならない。
もちろん全員に聞いてまわるわけにはいかないので、自分でみつける必要がある。
一番早いのはここのシステムに侵入することなのだが、俺にはそこまでのスキルはない。
だとしたら、方法は一つしかないだろう。
本人に名乗り出てもらうのだ。
俺は近くの端末にアクセスすると、そこにメッセージを送る。
使ったのはゼセトのアドレスである。
内容はインレグレード社が買収され、ゼセトが解雇されたという事実そのものだった。
これまでは時間外取引によってすべてやってきていたので、まずこの事実は知られていないだろう。
ましてやゼセトが解雇されたという事実は知りようがないはずだ。
三時間前とは言えアドレスはすでに停止されており、システムへのアクセス権は剥奪されている。
この状況ではラポから外に出るまでは、誰とも連絡のとりようがない。
つまり、俺が見つけ出そうとしている人物は不意打ちのようにこの情報に晒されることになる。
俺は自分で作った侵入口から外に出る。
カメラは予め潰しておいたから楽なものである。
一旦離れると建物内の気を探る。
後はただ待つだけだ。
思ったより早かった。
急に慌ただしく動き始めたヤツがいる。
俺はそいつが外にでてくるのを待っていた。
飛行ユニットを使って移動を始める。
俺は距離を取りながら、その後をつける。
すでに気を特定することがでたので、待っていても問題はないのだがすることがないので暇である。
コロニー内を空中から見るのも中々良いものだ。
頭上にも足元にも地上が存在するという光景は、惑星上にいたら絶対に見ることはできない。
飛行ユニットが向かっているのはコロニーの中心部を貫いているシャフトであった。
シャフトからはワイヤーが伸びており、遠心力を発生させている外壁を支えている。
飛行ユニットがシャフトに近づくと、ハッチが開きそこから内部に入る。




