第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 25 - 潜入
第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 25 - 潜入
だが、全域が都市部というわけではなく、いくつかのエリアに分かれて中で暮らしている人の心が荒廃しないように配慮がなされていた。
郊外エリアはそのために作られている。
ただ、郊外エリアと言ってもかなり広い。
ピンポイントで探すためには、車を使い自動運転で向かうのが一番手っ取り早そうだ。
いわゆる、急がば回れというやつであった。
俺は港近くで待機していた無人タクシーに乗り込み、目的地となる座標を入力する。
後はすべて自動だ、料金も自動的に俺の口座から引き落とされる。
高層ビルの立ち並ぶ都市部を通り過ぎ、そこから一時間ほど走った所で徐々にビルが消え、さらに一時間ほど走行した辺りで、民家も消えていく。
農園の風景が広がり、タクシーはその中を通っているうねるような道を走り抜ける。
俺が乗るタクシーが到着したのは、スペースポートを出てから三時間ほども経ってからだった。
こんなにかかるのなら、途中で飯でも食っておけばよかったなと思ったが、いまさらどうしようもない。
さっさとやるべきことを済ませて、そのうちまた余裕もできるだろう。
タクシーから降りた正面に大きな施設が存在する。
広大な敷地に立てられた平屋の建築物だ。
見た限りではファームのようにも見えるが、そうではない。
気を探ると、中には千人以上はいるようだ。
ただし、地上一階にいるのはごく僅かで、そのほとんどは地下施設にいるようだ。
距離的に考えるとおそらくこの施設は、コロニーを構成する外壁部分にまで到達しているようである。
もちろん中の構造がわかるわけではないので、気を探ってみた感じというか雰囲気である。
まぁ、こんな所で考えていても意味がない。
さっさと侵入することにした。
一階部分には何もないように見えるが、監視カメラがいたる所に設置されている。
ただし、一見それとわからないように隠されていた。
監視カメラは防犯効果もあるので、侵入防止のためにはむしろ見せたほうがよかったりするのだが、この施設は違った。
侵入を防止するのではなく、建物自体が目立つことのないよう巧みにカモフラージュされている。
俺はいくつか小石を拾いながら、スニーキングを開始した。
一階部分にはほとんど人気がないので、監視カメラを慎重に避けながら内部への侵入を試みる。
全ての入り口は中と外から監視カメラによるモニターが行われているので使わない。




