第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 24 - コロニーへ
第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 24 - コロニーへ
今はもう俺の機体だ。これから先、どうしても必要になってくる。
「そうだな……全治二日ってところか」
これまでに幾度となく修理を行ってきた男の判断だ、おそらく正しいのだろう。
「他の機体の修理は後回しでいい。こいつを半日で直してくれないか?」
かなりの無茶だが言ってみる。
「おいおい、無茶言うなよ。俺じゃなかったら辞表だしてるとこだろ」
反射的に整備班長が答えてきた。
言ってみるものだ、どうやらやってくれるらしい。
「すまない。たのむ」
俺は言い残したまま立ち去る。
格納庫を出る瞬間振り返ると、整備班長のガシムは矢継ぎ早に部下へ指示を出しているところだった。
これなら半日かからないかも知れない。
機体のことは、とりあえずほっておいて、コロニーへ移動しなくてはならない。
ここから先はスニーキングミッションになるので、マシンは使わず身一つで潜入した方がいい。
宇宙服も使わず、一番手近なエアロックから外に出る。
息を止めたままある程度移動したところでフェイズ2へとシフトを行い、有酸素運動から離脱する。
ここから先は帰ってくるまでフェイズ2での行動となるだろう。
圧倒的な力とスニーキングミッションに耐えうる繊細な動き。
その双方を最も良いバランスで両立できる状態がフェイズ2である。
目的のコロニーまで、距離的には1000キロメートルほどで極めて近距離である。
フェイズ2で移動すればあっと言う間だった。
ロウズエル・コロニーと呼ばれるスペースコロニーで、軌道エレベーターから最も近くにあり帝星の玄関口とも言える役割を持っていた。
回転部分である外周の直径が100キロメートルほどで、長さは500キロメートルにも及ぶ。
このコロニー内で暮らしている人は一千万人ほどで、首都機能の一部を担っていた。
宇宙艦隊も常時駐留しており、他の星系間との間を行き来する船も絶え間なく出入りしている。
そんな中で、俺一人が紛れ込むことはさほど難しいことではない。
入港する宇宙船の外壁に捕まって入港すれば、そこから先は見つからずに入管を通り抜けるだけでいい。
中に入ると地上にいるのとあまりかわらなかった。
もっとも違うのは地平線が存在しておらず、地面が上に向かってせり上がっていくという不思議な光景だろう。
端末を使って目的地を確認すると、どうも郊外エリアのようだった。
巨大なコロニー内部には多くの人が暮らしている。




