第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 22 - 尋問
第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 22 - 尋問
俺はレーザーを取ると、ゼセトがうめき声を上げながら俺の方を向くのを待ち、ゆっくりと銃口を向ける。
「どういうことか話してもらおうか」
俺は短く尋ねる。
こっちで調べることもできるが、話してもらえたら手間がはぶけるからだ。
「政府の犬めが。話すと思うか?」
苦悶の表情を浮かべながらゼセトが答える。
どうやら話すつもりはないらしい。
「なるほど、誰かと勘違いしているらしいな。まぁいい。とりあえず、君は現時点をもって解雇する。規定の退職金も出すから、早急に荷物をまとめて出ていってくれ」
警察等の機関に引き渡すことも可能だが、今の状況でインレグレード社に介入されたくはない。
「解雇だと? なんの話しをしている?」
ゼセトは苦痛にゆがむ顔に混乱したような表情をプラスするという複雑な表情で聞いてくる。
「今朝方インレグレード社はパルテノ社によって買収された。そして俺はパルテノ社の筆頭株主だ。正式な解雇通知は君の端末に送らせよう。もちろん、生き残っている部下二人も同じだ。これ以上話す必要はないだろう、いますぐ出ていってくれ」
俺は最後通牒を突きつけたのだが。
「バカな……そんな、そんなことできるはずが……」
ゼセトは容易に現実を受け入れることができない様子だった。
「納得できないようなら、どの端末を使ってもかわない。自分で確認すればいい。だが、君と君の部下二人の解雇は覆らない」
俺は突き放すように事実を言ってやる。
「くっ……」
なんとも表現のしようのない複雑な表情をしながら立ち上がると、関節が外れたままの右腕を左手で支えながら管制室から出て行こうとする。
「おい」
俺が呼び止めると、ゼセトはいったん立ち止まって振り返る。
そこに向かって、奪ったレーザーガンを投げる。
「忘れ物だ」
ゼセトは反射的に受け取り、驚いた様子でレーザーガンを一瞬見た。
だが、悔しそうに表情を歪めながらホルスターにレーザーガンを戻して立ち去った。
今、生き残ったパイロットの救出にスタッフが向かっているが、特に対応する必要はないだろう。
病院送りになった後は、そのまま自動的に退社する流れはすでに決まっている。
問題なのはこの後だ、このプロジェクトがどこと繋がっているのか調べる必要がある。
管制室にある端末からなら、すべての情報にアクセスができるはずだ。
そのためには、先にやっておかなくてはならないことがある。
アクセス権の取得である。




