第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 21 - ゼセトとの対峙
第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 21 - ゼセトとの対峙
ラポの管制室と回線を開くとスクリーンにはゼセトの顔が写った。
苦虫を噛み潰したような顔をしている。
「試験の結果はどうかな? もっとも、俺以外のパイロットは使い物になりそうもなさそうだが」
俺はそれなりにスパイスを利かせて言ってやる。
「ああ。十分だ、過ぎるくらいだがな」
ゼセトの返事は極めて短い。
言い訳も出来るような状況でないことは誰でもすぐにわかる。
もちろんゼセトも分かっていての返事だ。
「今から帰還する。準備しておいたほうがいいぞ」
俺はそれだけ言うと回線を閉じた。
タツギ1号機が使っていた実弾入のガンポッドを拾うと、戦闘機形態に変形し帰還軌道にライジンを乗せる。
後は、すべてAIがやってくれる。
もちろんそれは、途中までになるかもしれない。
迎撃される可能性を考慮していた。
だが、ラポからの攻撃はなく、すんなりと格納庫に入ることができた。
俺がコックピットから降りると、ゼセトの出迎えはなかった。
ラポで働いている作業員がよってきて、ライジンに取り付く。
ここまで機体が損傷しているのだ、かなり修理しがいがあるだろう。
俺はそのまま管制室へと向かう。
そこからゼセトの気が感じられる。
間違いなくそこにいるということだ。
無重力空間なので、特に気を使うことなく移動できるが、気を少し使えば自由に飛び回ることもできる。
もちろんそんなことはしないが。
来た時のルートを逆に辿り、俺は管制室に入る。
その直後、いきなり攻撃を受ける。
レーザーだった。もちろん攻撃してきているのはゼセトである。
避けることもできたが、あえて左手を使いその攻撃を受け止める。
素手でレーザーを受け止めた俺を見て、ゼセトはかなり驚いていた。
事故にすら見せかけるつもりのない、完全に殺意むき出しの行為で確実に仕留めようとした行動だった。
レーザーの照射先を変えて、ゼセトは俺を殺そうとしてくる。
ここに至れば、もう間違いない。
ゼセトは誰かからか俺を殺すように指示されている。
ならば、これ以上俺が遠慮する必要はない。
それに今は、ライジンという足かせがない。
とっととケリをつけよう。
そう決めた瞬間、俺はゼセトの背後に立つ。
フェイズ1で少し本気を出した動きであった。
ゼセトには俺のことがまったく見えていない。
武闘家としての修練はまったく積んでいないのだろう。
背後からレーザーガンを握った右腕を取ると肩の関節を外す。
それと同時に膝に軽く蹴りを入れてゼセトを床に転がした。




