第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 20 - 際どい勝利
第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 20 - 際どい勝利
人型形態に変形すると同時に、右のアームをタツギ1号機のヘッドパーツに叩きつける。
右アームがタツギ1号機のヘッドパーツを貫いた。
ヘッドパーツは弾け飛んだが、それでタツギ1号機が沈黙したわけではない。
ほぼ同時に反撃がくる。タツギ1号機に右アームが持っているビームライフルからのゼロ距離射撃である。
生身の俺ならともかく、ライジンがこれを交わすことは不可能だ。
だから左レッグをビームライフルの銃口に向かって叩きつける。
ライフルの射撃と同時に、叩き込んだためビームライフルは暴発した。
暴発したビームライフルは、ライジンの左レッグと一緒にタツギ1号機の右アームを破壊する。
その瞬間の反動で、二つの機体はそれぞれの方向に弾け飛びそうになる。だが、ヘッドパーツを破壊した右アームをタツギ1号機の破壊部位から奥に突っ込み二つの機体が離れないように固定する。
すでに俺はガンポッドも失い、かなりの姿勢制御用スラスターを失っている。
こんな状態で中距離戦になれば一気に方をつけられてしまう。
早い話しその時点で俺の負けだ。
俺としてはなにがなんでも、このままケリをつけてしまう必要がある。
だが、そのことはタツギ1号機のパイロットである、あの小柄な男も分かっている。
暴発の影響で激しく機体が揺さぶられる中、タツギ1号機は右アームに装備されているレーザーによるゼロ距離射撃を行ってきた。
だが、レーザーはビームと違い、瞬時に仕留められる武器ではない。
装甲を抜けるためには、照射時間が必要だった。
だから俺は、レーザーにはかまわず右アームを更に奥へと突っ込む。
レーザーが装甲を抜け、コックピットに到達しようとした瞬間、右アームはタツギ1号機のコックピットを破壊していた。
その時レーザーはライジンのコックピットに到達していたが、俺もまたフェイズ1へとシフトしていた。
コックピットを破壊されないよう気砲を放ち、レーザーのエネルギーごとレーザーライフルを破壊しておいた。
ライジンはかなりのダメージを負ったが、行動不能にまでは至らなかった。
スラスターも相当やられたが、戦闘機形態に変形することで帰還することはできそうだ。
一方タツギ1号機はパイロットごとコックピットが破壊されており、おそらく修復するにはかなりの時間がかかるのではないだろうか。
ただまぁ、俺の知ったことではない。
それよりまだ問題は残っている。




