第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 17 - 模擬弾での勝利
第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 17 - 模擬弾での勝利
得られるデータをフィードバックさせながら、機体の反応を俺に合わせてカスタマイズする絶好のチャンスである。
ペイント弾もタツギ3号機本体には無力だが、レーザーやビームと言ったエネルギー兵器ではなく、自動追尾型のマイクロミサイルに当てると誘爆させることが可能だった。
人型形態と戦闘機形態を頻繁に使い分けながら、ガンポッドの射線軸を微調整していく。
もちろんそこらの調整はAIがやってくれるので、俺はただ射撃を行うだけなのだが。
そうやって繰り返したおかげで、10個ほどのミサイルを破壊した辺りから、タツギ3号機がミサイルを発射した直後に当てることが可能となった。
さすがに全部に当てるとタツギ3号機は操縦者のラッシュ共々粉々になってしまうので、実戦では一番最後に発射された一発だけを狙って破壊する。
破壊されたマイクロミサイルは爆発範囲は狭いとはいえ、ほぼ同時に発射されたミサイルを巻き込んで誘爆してしまう。
左アームに装着されたミサイルポッドがアームもろとも消し飛んでしまう。
この影響を受けて、タツギ3号機は行動不能になった。
「管制室。こちらラッシュ。ミサイルが誤作動を起こして誘爆した。その影響で機体がダウン、回収をたのむ」
動かなくなったタツギ3号機の中から救援を求める通信が送られる。
何か俺に向けての言い訳でもあるかと思ったが、一切何もなかった。
ということは、どうやらこのまま終わるつもりはないらしい。
次は本気で俺を始末するために来るだろう。それも、1機だけではなく2機同時にだ。
殺意むき出しにして襲いかかってきたことで、すでにその意図は俺にバレている。
この状況で戦力の逐次投入を行う意味がない。
ガンポッドの残弾を確認すると残りは半分を切っていた。
ただ、これはそれほど問題にはならないだろう。
女の方はともかくとして、もうひとりの小柄な男がミサイルを使ってくることはまずないだろう。
ペイント弾が武器になるのはあくまで敵がミサイルを使ってきたときだけだ。
他に何か武器がないかを調べていたら、どうやら俺が乗っているライジンは格闘戦が可能なようだ。
おそらく設計者が意図して設計したのではないだろうが、操縦者にまったく配慮しない設計思想で作られた機体を支えるアームパーツとレッグパーツは結果として質量破壊を目的として使えるだけの強度を手に入れていた。
それだけ分かれば十分だ。




