第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 16 - テスト=実戦
第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 16 - テスト=実戦
まだまだバリアブル機を使いこなせるというレベルには到達していないが、無茶な機動ができるという一点だけは有利な条件と言える。
それに俺がこれに乗って闘うということは、とてつもない制約を課せられているということだ。
それをどれだけうまく扱えても、誤差程度の違いでしか無い。
などと言っても、今はこの機体を乗りこなす必要がある。
さほど時間を掛けずに、ライジンとはまったく違う機体に搭乗してラッシュがやってくる。
スクリーンに模擬戦用に敵と認識された機体は、ラッシュの文字の下にタツギ3号機と表示されている。
さて、どうやってスタートするのだろうかと思いながら様子を見ていると、射程内に入ったとたん殺気を感じる。
俺はすぐに戦闘機形態に変形してバーニアを全開にする。
すると、直前までライジンがいた場所をレーザーが通過する。
高エネルギーレーザーであり、間違いなく実弾であった。
なるほど、そういうことをするのかと思いながら、俺は人型に変形した瞬間だけ模擬弾を撃ち、わずかに回転した後変形する。
バーニアを全開にして加速を再開すると、これから向かおうとしていた位置にビームが撃ち込まれる。
これも実弾だ。
一方俺が撃った弾はタツギ3号機に命中するが、装甲の一部に色が付いただけでなんのダメージもなかった。
やっぱり俺が操るライジンは限りなく丸腰に近い状態である。
これは単なる採用試験などではない。
間違いなく、彼らは俺を殺しにきている。
この分なら彼らを解雇しようとした所で効果はないだろう。
明らかに企業としてではなく、まったく別の意思によって動いている。
おそらくそうではないかと想像はしていたが、インレグレード社はただの隠れ蓑で実態は他の何者かの意志によって動いているのだと判断すべきだろう。
もちろん形式上であっても、俺が買い取ったのだから、俺が筆頭株主として名乗り出たとしても、彼らは面従腹背を貫くことだろう。
ここで肝心なのは、そのことを俺が承知しているということだ。
必要な情報を入手できればいいのであって、彼らの態度がどうであろうと関係ない。もちろんニセ情報を掴まされないよう裏取りは必要となるだろうが。
そのために、俺は今ライジンのコックピットに座っている。
俺は立て続けにくる攻撃を交わしながら、ライジンのAIを微調整していく。
これは模擬戦ではなく実戦である。




