第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 13 - バリアブル機ライジン
第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 13 - バリアブル機ライジン
無重力の中で、まっすぐに飛んでくるカードを俺が受け取る所を確認もせずに、ラッシュは格納庫から出ていった。
どうやってこのカードキーを使うのかという説明すら一切なしだ。
親切にして貰おうとは思っていなかったが、ここまでされるとなるとさすがに少々やっかいだ。
余計な手間が増えることになる。
俺は端末を使い、筆頭株主の権限を利用して開発計画の機密情報にアクセスする。
そこにはライジンのデータも含まれていたので、すぐにカードの情報も拾えた。
使い方がわかったところで、カードキーを使いライジンのコックピットに入る。
俺がパイロット登録されていたので、シートに座ると同時に機体は本格的に起動する。
ライジンに搭載されたAIにはチュートリアルも搭載されているので、まずはそれを利用させてもらう。
点検フェーズをこなすと、ライジンは操縦可能になった。
まずは、外に出ないと話にならないので、ライジンの通信装置を使いラポの管制と間に通信を開く。
「ナルセだ。外に出る。ハッチを開けてくれ」
俺が通信を開くと、応答したのはラッシュだった。
「わかった、今開ける」
答えた映像には、面白くなさそうな顔をしたラッシュが写っている。
やはり、俺がライジンに搭乗できなくて困る所を期待していたのだろう。
俺はライジンのスティクを倒して移動させる。
それに応じてライジンが歩き出す。
歩いているというのは比喩ではない。
足にはマグネットがセットされており、無重力の状態でも文字通り歩くことができるのだ。
移動を始めると、俺のシートの周囲の光景がすべて格納庫へと変わる。
全天スクリーンが作動したことによって、シートが空中に浮かんでいるように見える。
俺はハッチへと機体を移動させながら、操縦システムを確認している。
操縦方法はそこまで複雑ではない。
シートの肘掛けに腕を置くと、ちょうど掌が乗る所に、スティックとタッチパネルが左右それぞれに設置してある。
そして、足元には二つのフットペタルがある。
これは足の動きとかではなく、補助的にコマンド入力を行うためのものだった。
細かい動きはAIがすべてサポートしてくれるので、コマンド自体は複雑なものではない。
それは手元のスティックやタッチパネルも同様で、操作自体は直感的に入力するやり方と簡単なコマンド入力の組み合わせになっている。
初めて操作したのだが、ハッチまで問題なく移動することができた。




