第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 11 - テスト・パイロット候補
第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 11 - テスト・パイロット候補
「あんたがチームのリーダーだってわけか。これからよろしく頼む」
俺は出来る限り無難に挨拶を求めたつもりなのだが。
「何を寝ぼけたことを言っている? ワシはまだ貴様がチームに加わることを認めたわけではないぞ?」
何かわだかまりがあるのだろうか。妙にゴネてきた。
鬱陶しいことだと思いながらも、仕方ないのでそのノリに付き合うことにする。
何事も全てが順調にいくことなどありえない。その程度の常識はあるつもりだ。
「どうすればいいんだ?」
ジョンを使ってゴリ押しすることもできるが、後々のことを考えると自然な形でチームに入れたらそれに越したことはない。
「お偉いさんが手を回したにしては素直じゃないか。だが、ワシのやる試験は簡単じゃないぞ? それでも受けるつもりか?」
半ば脅しのように聞いてきたが、俺にとっては脅しになっていない。
「もちろん。お手柔らかに頼むよ」
俺は軽く肩をすくめながら言った。謙遜したというよりは本心だ。
なにせ俺はこの宇宙におけるパイロット経験などない。
それに、テストがどうあれ結果は同じだ。俺が試験に落ちたらその瞬間、このおっさんを解雇すればすむことだ。そのためにインレグレード社を買収したのだから。
「ふん。口の割には自信たっぷりな態度が気に食わんな。その態度が本物かどうか見極めてやる。ついてこい」
そういうと、ゼセトは早足でビルを出ていく。
俺はその後に続いた。
それからちょうど一時間後。俺は宇宙空間にいた。
軌道エレベーターを使いスペースポートについた後、そこからインレグレード社所有の小惑星に移動した。
そこは開発機体の試験場になっており、民間機の侵入は制限された空間となっていた。
小惑星内に作られた機体開発用のラポに案内された俺は、テスト・パイロットチームのメンバーに引き合わされる。
男が二人と女が一人。
ただ、三人とも猫科の姿をしており、俺と同じ人間タイプはいない。
「こりゃまた弱っちそうなのがやってきたもんだ」
ニヤニヤと笑いながら一番大柄な男がまっさきに言ってきた。
「なんかお偉いさんの肝いりらしいから、あんまご機嫌をそこなうと、報酬減らされちゃうかもよ?」
同じ様にニヤニヤと笑いながら女が言ってくる。
顔は猫だが、体はひどく艶めかしい。
「おお怖い怖い。せいぜいご機嫌をそこなわないようにしなくちゃな」
女の言葉を受けて、大柄な男が馬鹿にした態度を見せつけるように応じていた。




