第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 08 - 買収
第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 08 - 買収
計画段階での運用目的はクレアル海ではないのだから、当然他のどこかで運用する目的で開発されていたということになる。
俺はそこに引っかかった。
インレグレード社の買収が、第一目標となった。
もちろん、軍事兵器を生産する会社など金さえだせば買えるというものではない。
どんな国であろうと、国家機密が絡んでくるからだ。
だが、まったく手がないわけではない。
同じレベルの軍事機密を保有する会社ならば併合という形で買収することは可能だ。
幸いなことに、インレグレード社の機密レベルはそれほど高くない。
おそらくバリアブル戦闘機の開発計画を促進した連中は、計画自体を内密にする必要があったのだろう。
つまり、最重要の国家機密にはしたくなかったのだ。
それは、ラートラ共和国政府とは別の力が働いているということを意味している。
俺はそこにつけこむことにする。
最重要の目標が決まったところで、次は資産の運用だ。
いくつかの口座を経由して、幅広く軍事関連株を買っていく。
特に戦艦建造に関係する会社の株を重点的に買っていく。
口座にあった半分ほどを使い株を買うと、軍事産業株価が結構底上げされてしまった。
分散はしているが、軍事産業関連株に集中したため、さすがに影響は抑えきれない。
追従して買いに出ている連中も多いが、俺が買うのをやめた瞬間にすぐ下落して少し値が落ちた。
もちろんそんなことを気にしたところで仕方ない。
そんなことをやっていると連絡が入る。鳥頭のゼックだった。
夜があけるまでには少し間があるが、準備が完了したとのことだった。
端末で確認すると、パルテノという名前の会社と、新たにCEOとなったジョン・マクレインという男の資料が送信されて来ていた。
それだけ確認すると、俺は鳥頭のゼックに約束の金額を送金する。
これで、必要な物はそろった。
パルテノ社を使いすぐに買収をしかける。
遠慮はしない、残った資産すべてをぶち込み市場に出回る株をすべて買った。
とんでもない額にまで株価は跳ね上がったが、気にする必要などない。
そもそも売り抜けることが目的ではないからだ。
公開株の70パーセントを取得した所で買い付けをやめる。
市場に出回っていた株の殆どを手にしたからだ。
だが、これではまだ不十分である。
全ての株式取得は不可能だとしても、90パーセントは超える必要があった。




