第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 07 - 株式
第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 07 - 株式
「なるほど、それでか。あんた、いい買い物したぞ。夜明け前までにはご希望のものを用意できる。それでいいか?」
自信たっぷりに言ってきた。
鳥男から俺が受け取ったのは、ラートラ共和国における身分証だった。
今度はそれを会社でやってもらおうと言うのだ。
その会社がラートラ共和国における活動の拠点となる。
「たのむ。それと、俺の連絡先をあんたの端末に送った。準備でき次第教えてくれ。俺はこれからすぐにやらなければならないことがある」
俺は自分の端末を操作しながら話す。
「了解。あんたの、ご希望に添えると思う。それと、オレの名前はゼックだ。あんたの名前も教えてくれないか?」
鳥男……ゼックの方から言ってきた。
本来はこの場で別れたっきり二度と会うはずもなかったのだから、当然名乗る必要もなかった。
なのに名前を名乗ってきたのは、これからも俺と組んで仕事をしたいという意味なのだろう。
「ナルセだ。期待している」
自分の名を名乗った後、俺はそのまますぐにゼックと別れて外に出る。
明日の朝には準備が出来るということなら、今夜中には準備を整えなくてはならない。
情報を取得するのだ。
まずは端末を使い、ラートラ共和国のネットワークに入る。
ネットワーク内だけでも、ある程度の情報収集はできる。
代表的な軍事企業名と、その会社がどんな会社であるのかということくらいは簡単だ。
その中で、投資対象になりそうな会社を見つけたらブックマークを残しておく。これが、投資対象となる会社だ。
そんな会社の中から、俺は戦闘機を専門に製造している会社に目をつける。
さすがに詳しいことまで知ることはできないが、面白い試作機を作っているとの情報が上がっていたので興味を持ったのである。
バリアブル戦闘機。
すなわち、人型と戦闘機の2形態に変形可能な機体であった。
まるで狭く大量のスターダストが飛び散っているクレアル海回廊での戦闘用に作られたような機体で、今後主力戦闘機となりうる潜在力を持っているようだ。
この会社の株価は今後うなぎのぼりになるだろう。
だが、本当に俺が目をつけたのはそれが理由ではない。
クレアル海に回廊ができたのは、まだラートラ共和国では誰も知らないはずだ。
そもそも、プロトタイプ機がすでに運用可能となっているということは、ずっと以前から開発が行われていたということになる。




