第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 06 - 準備工作
第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 06 - 準備工作
「鳥顔のやつに言われたかねぇな。それより、注文したやつはどうした?」
微妙にディスりながらすぐに本題に入る。
すると、鳥頭の男は手に持っていた紙封筒を俺に寄越してきた。
俺はすぐに中身を確認する。
入っていたのは身分証明書と、社会保障番号が書かれたメモだ。
「よく出来てるな。偽造か?」
確認した俺が尋ねると。
「本物だよ、全部。どうやって手に入れたかなんてヤボなことは聞くなよ? それより、約束の金を払ってくれ」
鳥頭でなければ、ニヤッと笑ったところを確認できたところなのだろうが、嘴ではさすがに表情は作れない。
「確認しろ。あんたの口座にすでに送金されてるはずだ」
俺は階段を登っている途中、鳥男の気を感じた所で送金しておいた。
「おいおい、マジかよ。なんのつもりだ?」
振り込まれた金額を見て、鳥男は驚いたように言ってくる。
それは当然で、請求されたものより一桁多い金額を振り込んでおいたからだ。
「言っておくが、間違ったわけじゃないぞ。口止め料とあと一つ、やってもらいたい仕事がある。その手付金だ。もし成功したら、その倍の金額を支払おう。受けなければそれはそれでいいが、その時には二度とあんたと会うことはないだろう」
かなり一方的な仕事依頼であるが、これからやることを考えたらこれくらいでちょうどいい。
「ふん。気前がいいことだ。話を聞いてから、というのはダメそうだな……」
さすがに裏社会で生きてきた男である。察しが良い。
「どうする? 時間がないから、引き受けるかどうかは今この場で極めてくれ」
あくまで強気で決断を迫る。
それから鳥男は、しばらく黙って俺の目を覗き込むように見る。
どうするか判断しているのだろうが、正直俺としてはどちらでもよかった。
金さえ払えば何でもやる連中は掃いて捨てるほどいる。
もちろんそんなことは鳥男も分かっているはずだ。
「わかった、引き受ける。あんたと組めばこの先大きく儲けられそうだからな」
鳥男はいたってまっとうな判断を下した。
まぁそれだけの投資はしておいたのだから当たり前だが。
俺はすぐに本題に入ることにする。
「会社を一つ都合してもらいたい。できるだけ創業日が古い会社が欲しい。ただし、誰も知らないような会社でなければならない。それとすぐに動いてくれるCEOも用意してくれ」
指示はそれだけだったが、俺がやってもらいたいことは十分伝わったはずだ。




