第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 03 - マネー
第08話 宇宙英雄伝説03 民主主義とバリアブル戦闘機編 - 03 - マネー
ロルクに替えられた資金はソーグ帝国内での投資に使われ、得られた利益は再びルロに替えられてラートラ共和国の投資家に戻ってくる。
ソーグ帝国内の投資家も、通貨の売買が逆になるだけで結局同じことである。
その闇市場を使って、ルロを買いラートラ共和国内での資金にするつもりであった。
ただそうするためには問題がある。
それは、闇市場はあくまで闇市場でしかないということだ。
俺がソーグ帝国内に抱える資産を一気にルロに替えようとすると、ルロが闇市場から枯渇してしまうことになる。
仮にメガバンクがいくつか闇市場に参入していたと仮定しても、その資金のほんの一部しか運用してはいないはずだ。
大きな資金を一瞬で動かせば、簡単に闇取引を行っている事実がすぐ当局に突き止められてしまうからだ。
そんなリスクをメガバンクが犯すわけがない。
つまり、俺が抱えている資金の一部であってもいきなり動かせばすぐにソーグ帝国側からの干渉が発覚してしまい、俺の計画はその瞬間に頓挫する。
つまり、分散しながら徐々に資金移動をするしかないのだが、時間がないので限度があるということになる。
結局今俺ができる一番の方法は、種銭となる資金だけをルロに替えて、それを元手にラートラ共和国で資金を増やすことだ。
その方法としては今のタイミングに限定されるが、確実な方法が存在している。
軍事産業関連の会社に投資するのだ。
広く投資することが基本だが、それだけでなく、できれば、クレアル海回廊内での局地戦に特化したような軍事兵器を開発している会社をひとつ買収しておきたい。
もちろん、それ以外の軍事産業関連会社であっても、株価が値上がりすることは確実で。投資した額だけリターンがあるだろう。
だが、クレアル海から帰還途上にある艦隊から報告が上がり、情報が公開されてニュースになるまでの短期間のことなので急ぐ必要があった。
俺は今相場を見ながら、通貨ルロを買っているところである。
もちろん利益を抜いていくことが目的ではないので、値下がりするのを待つことはない。だが、あまりやりすぎると市場に参加している他の連中がルロ買いに食いついてきて飛び跳ねることがある。
その時は売りをしかけて市場を冷まさせてから、再び買いに転じるような細かい芸当が必要だった。
ようは、できるだけ目立たないようにルロを買う必要があったからだ。




