第08話 宇宙英雄伝説02 ソーグ帝国政争編 - 51 - 新たな真実
第08話 宇宙英雄伝説02 ソーグ帝国政争編 - 51 - 新たな真実
そうし続けてきたからこそ、噂話し一つないまま五百年もの長きに渡って真実を秘匿することができたのだ。
こういったことがあると予想はしていたのだが、それを現実に目の辺りにするとどういった反応を返すことが正解なのかすらわからなくなる。
強力な交渉手段として使えるかも知れないと最強の切り札であるチロを送り込んだのだが、さすがにここまでとなると使う機会があるかどうか……。
ただ、それでも事の真相を確認する必要はある。
「苦労をかけたな、チロ。俺にはやらなくてはならない事が増えた。すまないが、その間にこれをやっておいてくれ」
俺は話しながら、受け取ったスマートフォンにこれからの指示を入力する。
「はい、ご主人さま。かしこまりました」
嬉しそうにチロが答える。
今までずっと働き詰めだっただろうに、それでもなを俺の指示を全うすることが喜びへとつながるということらしい。
チロのようなタイプは、放っておかれることが一番のストレスになるので遠慮することは逆に負担をかけることになる。
まぁ、その分俺が心苦しく思ってればすむ話だ。
「ご主人さま。この後のご指示は……」
俺の指示を見たチロが怪訝そうな声を出してくる。
「さっき宮廷で事件があったことは知っているな?」
俺が当然のように話すと。
「はい……概要くらいなら」
すぐにチロは答える。
「俺は事件が起こる直前、皇帝に会っている。その時には厄介そうな老人だとは思ったが、関わり合わなければどうということはないだろうと思っていた。だが、事態がこうなっては、そうもいかなくなった」
俺はチロに自分の考えを話す。
最も信頼がおけて、しかも絶対に裏切ることのない相手に直接話すからこそ言えることだ。
「はい……」
チロは俺の顔を横から見ながら、小さく頷いた。
俺はさらに話を続ける。というか、ここからが本題だ。
「今回の事件。どうも、裏には皇帝がいるのではないかと睨んでいる。だが、確証がない。実行犯の身柄を一度は確保したが逃げられた。そいつは、相当の手練だ。フェイズ1の俺とほぼ互角に闘えるだけの力を持っている。しかも、諜報活動に関しても超一流と言っていい。だからこそ、お前に頼む。俺には出来ない仕事だ。やってみせてくれ」
俺は軽く頭を下げる。
これがどれほど困難なミッションであるか、俺自身が一番良く知っているからだ。




