第08話 宇宙英雄伝説02 ソーグ帝国政争編 - 44 - 白ハクの警告
第08話 宇宙英雄伝説02 ソーグ帝国政争編 - 44 - 白ハクの警告
もっとも、少しばかり特徴とか塗り分けとかされていたとしても、近くに恒星もないような外宇宙においては目視することはほぼ不可能である。
気を特定できていなければ、探し出すのは容易ではないだろう。
それはともかくとして、さっさと乗り込むことにする。
端末を操作して、近くに乗務員のいない位置にあるエアロックを開放させる。
もちろん、その記録は残さないし、エアロックが開いたことは俺以外誰にもわからない。
エアロックを出ようとしたところで、しばらく姿をみせなかったあいつが現れる。
「警告するよ。今キミは危険を犯そうとしている。このまま引き返すことを推奨するよ」
白ハクだった。
「ほう? 事前に警告とは随分と親切になったもんだ。よっぽど暇なのか?」
言ったところで無駄だとは知りつつ、俺は茶化すように言ってみる。
「警告するよ。キミのやってることは、禁止事項に抵触する可能性がてできた。すぐに引き返すことを推奨するよ」
すると白ハクはそんなことを言ってきた。
俺が想定していたより一歩踏み込んだ言葉だったが、想定の範囲内ではある。
「そこまで念入りに警告しなくても、十分わかってるさ。その上でやっている。もちろん、俺が分かっていることを承知の上で警告してくれてるんだろう?」
俺は白ハクが端末の一つにしか過ぎないということを承知の上で言っておく。
もちろんこの言葉は、白ハクに向かって言った言葉ではない。
その背後にいる存在に向けて語りかけている。
「警告するよ。キミのやってることは、禁止事項に抵触する可能性がてできた。すぐに引き返すことを推奨するよ」
白ハクはまったく同じ言葉を繰り返してきた。
どうやら、早くもネタ切れらしい。
俺としては、どうでもいいことなのであるが。
「それじゃまたな」
もうこれ以上この場に足止めされていたところで、なんの易もないのでその言葉だけを言い残して白ハクの横をすり抜ける。
これから先はついてこないことは分かっている。
俺としては、この時点で目的の半分は達成できた。もうこれ以上白ハクに関わっていてもしかたない。
少し話たのだがわざわざ俺への警告に現れたのは、警告することしかできなかったからだ。
つまり、俺と直接対決をするつもりはないということを暗に伝えているのだ。
まぁ当然のこととも言えるが、俺に関する情報をある程度持っているのだと思っていい。




