第08話 宇宙英雄伝説02 ソーグ帝国政争編 - 43 - 艦隊へ
第08話 宇宙英雄伝説02 ソーグ帝国政争編 - 43 - 艦隊へ
ケルンがこれで終わらなかった以上、また何かしかけてくることは間違いない。
何をするにしても、今この時点において危険を犯してまで追う理由が俺にはなかったからだ。
俺は別にソーグ帝国の守護者というわけではないし、俺の邪魔にならない限りはケルンがどんな行動をとうろが知ったことではない。
それに、そろそろ外では治安維持部隊が到着して対応を初めている頃だろう。
俺の方もタイムリミットである。
エレベーターを使って地上に戻ると、治安維持部隊が死体を発見しこれから捜査を開始しようとしている所だった。
俺は光学迷彩を使い発見されないように注意を払いながら外に出ると、そのまま帝宮を離れる。
ナジュはとっくに帝宮から離れている。
今頃は風呂にでも入ってゆっくりくつろいでいる頃だろう。
帰りたいところだったが、俺にはまだやるべきことがある。
まずは上空でフェイズ2にシフトしながら、帝星の大気圏を離脱する。
ある程度離れたところで、俺は気を探る。
ソーグ帝国の英雄コーグ・ド・ファリス准将の気だ。
至近距離で見ているので特定するのは難しくない。
まだ結構距離がある。
帝星からだとクレアル海との中間地点といったところだろう。
俺は加速しながらフェイズを6まで持っていく。
帝星では時空震が観測できただろうが、その理由まではわかるまい。
わかったところで今の俺には帝星の防衛システムを黙らせることくらい造作もない。
俺は帝国へ帰還する艦隊の位置を探りながら近づく。数光年という至近距離まで接近したところで、フェイズ2に落とし端末を操作する。
すると、通常空間に艦隊が姿を現した。
俺がルート権限を使って全艦のハイパードライブを強制解除させたのだ。
一応、バックドアの存在がバレないように回避ルートは使ってあるが、もう一度同じことをやれば即座に見つかってしまうだろう。
もっとも、放置したところでそれは時間の問題であり、特定されることは間違いない。
とは言っても、そんなに長い間この宇宙にとどまるつもりはさらさらないが。
俺は気を探り、ハイパードライブが解除された全艦の中からコーグ・ド・ファリス准将が乗り込んでいる旗艦ラウドリッヒを特定する。
最も多く量産されたザルト型主力戦艦の中の一隻なので、特徴の形から見分けることは極めて難しい。




