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第03話 ドラゴン・オリジンズ - 12 - VSドラゴン01

第03話 ドラゴン・オリジンズ - 12 - VSドラゴン01


 俺がフェーズ3に移行したことで、俺のことを最優先に斃すべき敵だと認識したのだろう。

 これは、俺の知るドラゴンの特徴と一致する。

 どうやら、俺はついているらしい。


「すぐにドラゴンが来る。闘いが始まればここは宇宙空間になるだろうから、しばらくは呼吸を止めとけ」


 俺は、俺の背中に必死でしがみついているチロに向かって警告を発する。


「ドラゴンですか……? あれが?」


 大気圏で急減速しつつ、灼熱の巨体が上空から降りてくる。

 ただ、全長は三百メートルほどで俺が知っているドラゴンよりもだいぶ小さかった。


「ああ、だいぶ小物のようだが……まぁ、これで十分だろう」


 俺がチロに言うと同時に、ドラゴンが咆哮をあげる。

 と言っても、音ではなく時空震の一種を人間の鼓膜捉えて、そう聞こえるのだ。

 なので、大気圏中だけでなく宇宙空間においてもドラゴンの咆哮は聞くことができる。


「でも、でも……あんなの……あんなの、ドラゴンじゃありません。チロの知ってる、ドラゴンじゃありませんっ」


 俺にしがみついている、チロの体が震えていた。

 明らかに、怯えている。

 すでにペット化しているとは言え、元はヴァンパイアであるはずのチロなのだが、どうやらドラゴンは苦手のようだ。

 誰しも苦手意識というものはあるので、ここはいたし方ないだろう。

 やつの姿は巨大な槍を頭に付けた甲虫に見える。

 もっと、わかりやすく言えばヘラクレスオオカブトを一本角にしたような形だ。

 虫系が苦手な女の子とかだと、敬遠するかもしれない。

 とはいえ、ドラゴンの血液に見た目は関係ないので、気にする必要はない。


「まぁ、見た目はあまり気にするな。それより、ヤツもやる気になっている。最初から全力でくるつもりだ。息を止めておけよ」


 俺はチロに向かって、最後の警告をした。


「はいっ。ご主人さまっ」


 チロの返事とヤツの攻撃、どちらが早かっただろうか。

 いきなりヤツの気が膨れ上がったと思ったら、とたんに巨大な触角から強烈なエネルギーボルトが放たれる。

 むろん、俺もそれを黙って見ていたわけではない、両手を前に突き出して気砲でそれを迎え撃つ。

 純粋なエネルギー同士のぶつかり合いは、時空の歪を伴いながら余波となったエネルギーが爆発的な勢いで広がっていく。


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