第08話 宇宙英雄伝説02 ソーグ帝国政争編 - 38 - 侵入者
第08話 宇宙英雄伝説02 ソーグ帝国政争編 - 38 - 侵入者
宮廷の複数の場所で爆発が起き、それに巻き込まれた貴族に多数の死者とそれより多くの負傷者がでている。
治安維持部隊が投入されたとしても、まず貴族の安全を最優先とするだろうし、警備に当っていた部隊も、警官や救助の人間も犠牲となった貴族の保護を最優先として行動するだろう。
つまり、現在帝星の中枢である管制室は警備の人間だけが、孤立して守っている状態であった。
それが、次々と殺害されている。
もちろんそんなことをしている犯人の狙いなど一つしかない。
間違いなく、管制室にある防衛システムが狙いなのだ。
もちろん、破壊しようというのではないだろう。
それなら、最初からそれの破壊を目的に行動するはずだからだ。最初の一撃で破壊してしまうことが一番確実であることには代わりがない。
そう考えると、自ずと目的は分かりそうなものだが、俺はあえて断定はしない。
どうせすぐに分かることだからだ。
帝宮に相応しい広い通路に、何人もの男の死体が転がっている風景は、ひどく寒々として見えた。
ただ、全員が武器を使って殺された形跡がなく、というより外傷がない。
唯一外見から分かる死に繋がりそうな特徴としては、目と耳から出血が見られるというところだろう。
争った形跡もないことから、おそらくこれをやった人間は光学迷彩を使っているかそれに類するものを使用している。
そして、相手を殺すのに手も触れてずに、脳を破壊しているところを見るとおそらくサイキックだろう。
音もなく、姿も見せず、忍び込み一切の証拠を残すことなく立ち去る。
こういったスニーキングミッションにはうってつけの人材といったところか。
俺もその手の作戦をやった経験はあるが、ここまで死体を量産するようなヤツは初めて見る。
というのも、スニーキングミッションにおいて一番大切なことは、痕跡を残さない所にある。
これでは、逆に侵入した痕跡をこれでもかと言わんばかりに残しまくっていることになる。
いかなる目的があるのかはともかく、とりあえず敵がサイキックだということが分かれば今は十分であった。
俺は誰も気づかれないようにフェイズ1へとシフトしておく。
フェイズ2からは、衝撃波を伴うがフェイズ1ならほぼ無音で行うことが可能だ。
敵の実力がどのくらいかは分からないが、サイキック能力のみ頼るようなら楽勝だろう。
などと考えているうちに、管制室の前まできた。




