第03話 ドラゴン・オリジンズ - 11 - 新たなる希望
第03話 ドラゴン・オリジンズ - 11 - 新たなる希望
そもそも、エンシェント・ドラゴンの血液が必要となったのは、人間の血液の代用であった。だとすれば、もっと入手しやすい血液で代用できないか考えた方がいいだろう。
「なぁ、チロ。お前が言っているエンシェント・ドラゴンだが、なぜエンシェント・ドラゴンなんだ?」
俺はそもそも論をぶつけてみる。
ここがわかれば、問題解決のための突破口にできる可能性が高いだろうと予想したからだ。
「はいっ、ご主人さま。それは、エンシェント・ドラゴンがドラゴン最強のドラゴンだからです。なので、その血液には最も強い力が流れています」
ふむ……。
「だったら、そのエンシェント・ドラゴン以上の力を持つドラゴンならばどうだ? 比較にすらならんような強力なドラゴンだ」
そう話す俺の頭のなかには、俺にとって最も馴染みのあるドラゴンの姿が浮かんでいた。
「はいっ、ご主人さま。それなら、たぶん大丈夫です。必要な量も、ずっと少なくてすみます」
チロが答える。
決まりだな。
俺は心の中で決断を下した。
最も血液の量も、比較にならないほど大量のものとなるだろうと思いながら。
「チロ。お前はどのくらい呼吸を止めていられる?」
そうなれば、次のステップに行く前に確認しておかなくてはならないことがある。
そのための質問であった。
「チロはヴァンパイアなので、ほんとは特に呼吸する必要はありません。なので、いつまででも止めていられます、ご主人さまっ!」
エンシェント・ドラゴンはともかく、俺の知っているドラゴン戦となれば必然的に戦いの場は宇宙空間を含めて想定しなくてはならなくなる。
当然俺には宇宙服の持ち合わせはないので、この状態のまま宇宙空間にいかなくてはならない。
俺は馴れたものであるが、チロは初めてだろう。呼吸を止めていられるなら、宇宙服なしでもなんとかなりそうだ。
これでドラゴンと闘うための前提条件はクリアできた。
次は位置の特定である。
俺は、自分が知っているドラゴンの気を思い出しながら探索の範囲を広げた。
すると、幾つか大きな気が見つかり、その中に俺が知っているドラゴンとよく似た気を見つけることができた。
予想していたよりも、かなり近い。
およそ、この星から直線距離で百光年と離れていないだろう。
しかも、超光速でこっちに近づいてくる。このままだと、あと数秒後にはこの惑星に到着する。
考えるまでもなく、狙いは俺だろう。




