第08話 宇宙英雄伝説02 ソーグ帝国政争編 - 02 - CEO
第08話 宇宙英雄伝説02 ソーグ帝国政争編 - 02 - CEO
もちろん、そんなもの市場で公開販売などされていないので、それなりのルートを使う必要があった。
そうした非合法ギリギリのことも頻繁にやらなくてはならないので、ダミー会社は必須である。
もちろん、ソーグ帝国の刑法にひっかかるようなマネをすれば、即禁止事項にひっかかってしまい、俺は消去対象となる。
もちろん、素直に消されるつもりはないので、自動的に戦いになる。
敵を知らない状況での戦いは、俺にとって不利極まりない。超次元生命体と俺との闘いに巻き込まれたら、この宇宙そのものが消滅しかねない。
さすがに、それは避けたい。
良心の問題であった。
かと言って他の英雄達と違って、俺にはこの世界に基盤があるわけではない。
肝心の俺のパートナーと言えば自称海賊、どう贔屓目に見てもアウトローである。
危険を承知で違法ギリギリのラインを攻めていくしかない。
ただそいういう意味で言えば、貴族制度の良いところは貴族と一般市民とでは別の法律が適用される所である。
貴族の身分を手に入れることができれば、随分と違法のラインが広がることになる。
ただ貴族内にも更なる階級が存在しており、その階級によってさらに法律が異なるのだが、それはこのさい関係ない。
俺の目的にとって貴族特権があればそれだけで十分だからである。
しかも、俺自身が貴族になる必要はなかった。
だから、ナジュを貴族にするだけでよかったのである。
その上で、ナジュをファーイースト・コーポレートのCEOにする。
ファーイースト・コーポレートは貴族が運営する会社であるという建前さえあれば、とりあえずそれでよかった。
というわけで、俺は会社を立ち上げるのと同時に地下組織に命を狙われていた男爵家の末裔を見つけてナジュと婚姻関係を結ばせた。
その上で家督相続をさせた後、大金を持たせてラートラ共和国へと逃してやった。
二度とそいつが現れることはないし、ナジュは誰はばかることなく合法的にレーゼン男爵閣下となったのである。
そのことを俺がナジュに告げたのは、ファーイースト・コーポレートのCEOにナジュが就任したことを告げたのと同じタイミングであった。
「へっ?」
俺が最初にそれらのことをナジュに告げた時の反応はそれだった。
完璧に何がなんだか分からない、そんな表情をしていた。
というのも、この間ナジュは精錬所と運んできた小惑星規模の金鉱石との間を往復して、金の精錬に励んでいたからである。