第03話 ドラゴン・オリジンズ - 08 - エンシェント・ドラゴン探索02
第03話 ドラゴン・オリジンズ - 08 - エンシェント・ドラゴン探索02
俺の知るドラゴンはフェーズ3に匹敵する、巨大な気を持った化け物だ。そんな化け物が同じ惑星にいれば見つからないはずはない。それどころか、恒星系外からでも簡単に見つけることができる。そんな化け物だった。
だが、こうやって気を探っても見つからないとなると、俺のようにフェーズ=シフトを行える可能性がある。自分の限界を突破することで、それまでとは桁違いの力を手に入れることのできる存在。
あいにく俺は俺以外にそんなことの出来る存在を知らないが、もしいるとすればこれはとんでもなく厄介な相手となるかも知れない。
そう思考をめぐらしながら、俺はチロに質問したのである。
「たぶん、あっちの方です。ご主人さまっ!」
あたりを見回していたチロが指で指し示したのは遠目からでも、はっきりと分かるくらい巨大な山であった。
「あの山のことか?」
一応念の為に俺が聞くと、
「はいっ、ご主人さま。エンシェント・ドラゴンは深き山を好みます」
チロはハァハァしながら答えてくれた。
ということは、エンシェント・ドラゴンはあの山の中腹のどこかにいるのだろう。
だとすれば、これは少々厄介な状況だ。
気で探れないとなると、山一つとはいえそこから目視で探しだすのは至難の業だ。
ましてや、どこぞに隠れていたりするようだと、何年かけても見つからない可能性がでてくる。俺は、一時間以内には帰ろうと思っていたから、とてもそんな悠長なことをやるつもりはなかった。
そうなれば、俺のとるべき手段はそれほど多くはなくなってくる。
山の中から見つけ出すのではなく、山の中から叩き出すのである。
具体的に言えば、山そのものを叩き壊せば姿を表さざるを得ないはずだ。
乱暴な方法ではあるが、とても手っ取り早い。
ただし、いきなり闘いが始まることは必至で、事前にそのための準備は必要だろう。
フェーズ4にあげておけば、ほぼ間違いなくドラゴンを斃すことはできようが、それだと跡形なく消滅させてしまうことになる。
俺の目的はあくまでドラゴンの血液にあるので、それだと本末転倒ということになる。
厳しい闘いになることを承知の上で、フェーズ3でいくしかない。
「少しの間離すから、しばらく一人で落下しろ」
言うと同時に、チロの体を放り投げる。




