第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 69 - パルサー
第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 69 - パルサー
今更後悔してもしかたないので、俺もすぐに後を追いかける。
俺がくぐり抜けた直後に、力づくで開いたゲートは閉じてしまう。
もう用はないのでそれでまったく問題はない。
しばらくの間、バルベル号は等速直進運動をしていたが、フラフラしなが軌道を変更したと思ったらようやく元気に飛び回り初めた。
中の人が脳震盪を起こして、ようやく立ち直ったといった感じだった。
どうやら問題なさそうなので、俺はパルサーに向かう。
気を感じることができなくても、この距離だとどうにか目視で判別できる。
ここから先は普通に移動すれば問題はない。
とは言っても、フェイズ20のままだとどんなに気をつけていても、パルサーを消滅させかねないのでフェイズ6までシフトダウンしておく。
パルサーの核を気砲で撃ち抜くだけならこの程度のフェイズで十分だ。
俺はパルサーから放出される、高重力によるガスの気流を読みながら、気砲の狙いをつける。
高速で回転するパルサーの軸線は絶えずブレて、複雑に変化しているが、それでもパターンがある。
そのパターンからガスが放出されない方向を見極め、タイミングを合わせて撃ち抜くのだ。
もちろん一部質量を失えば、軸線はさらに変化することになるので、軌道が変化したガスに破片が流される前に飛び込んでパルサーの影響圏外まで弾き飛ばす。
まぁ、失敗したところで、何度でもやり直すことは可能なので、気楽にいけばいい。
というわけで、俺は気砲を放ち同時に移動を開始した。
放った気がパルサーを貫通した時には、俺はすでに反対側へと移動していた。
一片が数百キロほどもあるパルサーの巨大な破片が俺の方へと近づいてくるが、軸線が変化したためにブレた高速のガス気流もこっちに向かってきている。
タイミング的にはほぼ同着の感じだ。
だが、別に待っている必要などないので、俺はパルサーの破片との間合いを詰める。そのうえで、拡散させた気をさらに極限まで制限した状態で当てた。
拡散させた上で、可能な限り手加減したとは言っても、さすがにいきなり衝撃を受けては無傷というわけにいいかなかった。
急に進行方向を変えて加速したパルサーの破片は、いくつにも分裂しながら重力圏外に向かってすっとんでいく。
俺はその中で、一片が数キロほどの比較的小さな破片においつくと、それを自分で直接押して加速させていく。