第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 68 - 力技
第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 68 - 力技
頻繁に出たり入ったり、非常に忙しいがまだしばらくは繰り返す必要があるだろう。
大変な手間だがしかたない。その分のつけはイニシエーターにしっかりと払ってもらうつもりだ。
俺はエアロックから外にでると、一旦バルベル号と距離を取る。
一応余裕を見て、一光年ほど距離を取ったところで、俺はフェイズ・シフトを行い一気にフェイズ20まで移行する。
惑星規模の天体なら、一瞬で消滅させてしまう衝撃波が周囲に広がったが、ここは銀河の外にある深宇宙なので影響はまったく考慮する必要がない。
転生してから以降、間違いなく最強のフェイズ・シフトである。
さすがにここまでフェイズを上げる必要がでてくるとは想定していなかった。
このフェイズに到達すると、限定的ではあるが時間と空間に干渉することができるようになる。
魔法技術で言う所の転移ゲートを、力づくで出現させられるのだ。
もっとも転移ゲートと違って、慎重にやらないと周囲の空間を破壊してしまいかねない危険な行為でもある。
俺はマップで確認した方向の気を探る。
わざわざ近くの有人惑星を指定したのは、このためである。
パルサーの位置は気でさぐることができないので、気を感じる事のできる惑星がある星系を目標にしたのだ。
慎重にさぐっていくと、目標のある方向に非常に微かな気を感じることができた。
周囲に気がまとまって存在する場所がないので、これで間違いないだろう。
俺は一旦バルベル号の近くまで戻り、気を腕に集中する。
そして両腕に力を込めると、目の前の空間を押し広げ始める。
最初は腕の力で、ある程度広がったら気を流し込むことで大きくしていく。
大きく広がれば広がるほど、空間そのものが不安定になり、破裂しそうな感じになってくる。
もちろん空間が破裂するわけないので、実際には疑似ブラックホールとも言うべき空間断層が出来上がることになる。
その状態で、俺は空間断層に腕を突っ込んで、気を感じていた空間を掴んで手繰り寄せる。
そして、その空間をさらに押し開いていくと、ずっと彼方にあったはずの二つの空間が繋がった。
俺はバルベル号の背後に回ると、その空間にそっと押してやった……つもりだった。
だが、バルベル号は想像以上の速さで俺が開けたゲートをくぐり抜けていった。
やはり、フェィズ20にまで到達すると、力の加減は極端に難しくなる。