第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 67 - 移動手段
第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 67 - 移動手段
「まーかせて、余裕余裕……これなんかどう? いい感じにX線出してるよ?」
ナジュはマップに表示したパルサーを拡大して俺に見せてくれた。
いい感じのX線とか言われても俺はパルサー評論家ではないので、正直なんとも言えないが、マップに表示されていた位置がエルミシウム銀河の外周付近にあり条件としては問題なさそうだ。
できるかぎり辺鄙な場所の方が、俺が何をやったのか知られる可能性が低くなるのでありがたい。
「いいと思う。すぐにいけるか?」
俺が質問すると。
「うーん……ここからだと、10日前後で行けるんじゃないかな?」
ナジュは呑気にそんなことを言ってくれた。
「遅いな、遅すぎる……」
俺がつぶやくように言ったセリフなのだが、ナジュはめざとく聞き咎める。
「はぁ? バルベル号はハイパードライブでも最速の船なんだよ? 他の船じゃ倍はかかるよ。これ以上早くするのは不可能ってもんさ。10日なんて他じゃ到底できない速さなんだよ!」
ナジュは如何にバルベル号が速いんだということを力説してくる。
もちろん俺はそんなことなどどうでも良いことである。なのでほっといて別な質問をする。
「このパルサーに一番近い有人惑星はどこにある?」
ナジュは何か言いたそうな顔をしていたが、それよりも欲に眩んでいる方がでかく意外と素直に応えてくれる。
「ここだね。五百光年くらいで、ここが一番近いよ。っていうか他にはないかな。さすがにパルサーの近くの星系で暮らしたいなんてヤツはそうそういないからね」
さっき聞いた話しから推定すると、バルベル号の巡航速度は毎時2万光年ほどだろう。
つまり五百光年というのは数分程で行ける距離ということになる。
距離的にはともかく、時間的には至近距離である。
「それじゃ、まずそこに俺がバルベル号を運ぶから、君は後からパルサーまで来てくれ。到着する頃には全て終わらせておく」
言ってもたぶんわけが分からないだろうな、と思いながらも俺は後の段取りについて話しておく。
「運ぶって、どういうことさ? 何するつもりなんだよ?」
やっぱり聞いてきたが、その質問は無視だ。
「すぐに分かる。理解をする必要はないから、段取りだけ覚えておいてくれ。それじゃ、すぐにいくぞ」
俺はそれだけを言い置いて、まだ何かいいたそうにしているナジュに背を向けエアロックに向かった。