第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 61 - これからの闘い
第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 61 - これからの闘い
しかも、本来は味方であるはずの政治家やメディア、あるいは財界が敵になる。
それを跳ね除けるだけの政治力を発揮できた英雄が、最終的な勝者となるだろう。
もちろんホームグラウンドではない戦いなので、どちらも勝者とはなれず歴史の影に沈んでいくことになる可能性もある。
もしどちらか片方が勝利できたら、生き残った英雄のいる国が敵国を滅ぼして勝者となる。
最後に可能性は低いと見ているが、どちらの英雄もが生き残ることができた場合、歴史に残るような会戦が繰り返された後、最終的に片方の国がもう片方を併合することになる。
もちろんこれらの予想はすべて俺が動かなければ、の話である。
なんにしても、これで現状の把握はある程度できた。
問題なのはここからどうするか、ということである。
第三の勢力があれば話は早いのだが、そんなものは存在しない。
エルミシウム銀河とアルメイル銀河という二つの銀河の間には五百年間一切交流はなかった。
航路にはクレアル海が横たわっていて、馴れ合いの艦隊戦を延々と続けているのが唯一の交流と言えるかも知れない。
もちろんそんなものがあっても、第三勢力と呼べるような存在が生まれてくるわけはない。
それでどうするのかということが、問題となってくる。
まともに考えれば、俺はどちらか片方の国に係ることになるわけだが、それはどうしてもしたくなかった。
なぜならば、俺はこんな所で歴史に絡むような英雄になるわけにはいかないからだ。
今の状態ならば、せいぜい自称英雄といったところだろう。
この状況のまま決着を付ける必要がある。
すべては俺自身のためであった。
俺にとって最大の目標はこのゲームを始めた連中の目的を突き止めて、二度と俺に関わってこないように釘を差した上で自分の世界に帰ることである。
そのためには、俺自身が抜き差しならないような立場に立たないことが肝心であり、ましてや歴史的に重要な英雄として名前を残すようなことなどあってはならないことであった。
その意味では、今のところ怖いくらいに順調にことが進んでいる。
今一番重要なのは、ソーグ帝国とラートラ共和国、俺は二つの国のどちらの首都星系に入るのかということである。
ソーグ帝国における影響力ならび情報収集は、身分が大きく関わってくる。