第03話 ドラゴン・オリジンズ - 07 - エンシェント・ドラゴン探索01
第03話 ドラゴン・オリジンズ - 07 - エンシェント・ドラゴン探索01
「はいっ。ご主人さまっ!!」
チロはさらに元気に答える。うーん、これでは不安が一層増しただけのような気もするが……。
いつまでも疑っていたのでは、事態が好転するわけはないのでここは決断を下すしかないだろう。
「それではルーファ、召喚ゲートを開いてくれ」
俺が命じると、ルーファは神妙な面持ちで召喚陣が書かれたシートを床の上に広げ、魔力を注ぎ込みながら呪文を唱える。
すぐに召喚陣が輝き始めた。
召喚ゲートが開かれたのである。
「よし、いくぞ、チロ」
「はいっ、ご主人さまっ!」
俺が無造作に召喚陣の中に足を踏み入れると、チロも召喚陣の中へと飛び込んできた。
そして、例によって世界が変わる。
とりあえず、手に持っていた靴を履き、周囲の様子をさぐる。
俺が立っているのは、鬱蒼と茂った森の中であった。
人工物のような者は見当たらない。周囲の気を探ると、かなりの数の気を感じることができたが、普通の森なら感じられる程度のものでしかない。
チロは俺の横にひっついてハァハァしている。
弱りきっているチロであったが、俺が感じている気の中ではこいつの気が一番でかい。
どうやら、近くにドラゴンはいないようである。
さすがにそこまでは都合よくことは運ばない。
俺は、横にいるチロの腰を掴んで引き寄せる。
すると、チロは中性的な美しい顔を俺に向けて喜んでいた。
けっこう可愛い。
どうやら、ヴァンパイアという存在はペットに向いているようである。
少なくとも、エルフよりは遥かに。
「飛ぶぞ」
俺はチロを両手で抱え直して上向かって跳ね、そのまま飛空術を使い上空にとどまった。
チロは俺の首に両手を絡ませて、俺の顔を凝視してハァハァしている。
よほど嬉しいらしいが、このままでは目的が果たせない。
「おい、チロ。俺ではなく、地上を見ろ。どのあたりにエンシェント・ドラゴンがいるのか、おおよそでいいから俺に教えるんだ」
言いながら俺は、この惑星全体の気を探っている。だが、これと言って大きな気は見つからない。




