第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 55 - 無人機
第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 55 - 無人機
現在は、どちらも体制を立て直すことと、戦力と弾薬の補給を受けたいところだろう。
いくら英雄がすごかろうが、矢弾が尽きた状態では戦えない。
いずれは決着をつけなくてはならないだろうが、それは補給を受けた後のことになる。
そうなる前に回廊に突入してしまえば、ずるずると馴れ合い的な戦闘を続けつつ、十分な補給を受けた方の艦隊が全戦力を持って叩き潰しにくるだろう。
最初は消耗戦だが、補給を受けていない艦隊は最後まで戦い続けることはできない。
途中から戦えなくなるからだ。
さすがに英雄なら、そんなことくらいは理解している。
だから、今この時点で回廊に艦隊を派遣することなどありえない。
そう確信できるのである。
だが、無人機や無人艦なら話は別だ。
自動で反応して、襲ってくるわけだから、艦隊の運用とはまるで関係なく、作戦とも関係してこない。
ただ俺としても、英雄と直接闘うわけではないから、遠慮する必要もなくなるのでその点だけは助かる。
「わかった。ただ、さすがにデータの量が半端ないので、フィルターかけてもダウンロードに時間がかかるよ。それまでの間、耐えてくれよね」
ナジュがそう言っている間に、もう反応があった。
宇宙服のバイザーに周囲の状況がリアルタイムに表示される。
バルベル号の探査システムを、俺の着ている宇宙服にリダイレクトしているのだ。
無人機には人が乗っていないので、自分の気を使ってさぐるのは限界がある。正確には死角ができてしまうということなのだが。
それを探査システムが補ってくれる。
問題なのは、打撃攻撃には宇宙服が耐えられないので、気を使った技のみで闘う必要があった。
つまりバルベル号の近くで闘うのはやめておいた方がいいということだ。
もちろん加減はするつもりだが、技によっては衝撃波でせっかく直ったバルベル号にダメージを与えかねない。
なので、俺はやって来るのを待つのではなく、こっちから先に出迎えることにした。
俺が近づくと、最初にレーザーによる照射が来た。
直撃をうけると、一瞬で宇宙服が蒸発する。
当然俺は避ける。
光速でくる攻撃を避け続けるのはさすがにしんどいので、気砲による反撃でさっさと潰す。
間をおくことなく、今度は反対側からバルベル号に接近してくる機体がいたので、今潰した無人機の破片を投げてぶつける。
ただの破片であっても、俺が力いっぱい投げたのだ。