第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 53 - ユニット交換
第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 53 - ユニット交換
中心部を目指したのは、そこにはプルーブの空白地帯があるはずだと俺がナジュに伝えたからだ。
もちろん双方の艦隊は、撤退しながらプルーブをまいたはずだ。
ただ、艦砲射撃が届く範囲内の敵プルーブは互いに潰し合っているはずだから、必然的に中心部にはプルーブの空白地帯ができることになる。
それは、たんなる俺の推測でしかなかったが、事実がどうなのかはすぐに分かる。
「おっ。すげー、戦艦のスクラップが大量に浮かんでるけど、探査プルーブは一つもないや」
全天モニターにして周囲の状況を確認しながら、ナジュは感心していた。
「それじゃ、そろそろ作業に取りかかろうか。俺は外に出て手伝う」
まずはハイパードライブ・ユニットの交換からだ。
俺はエアロックで宇宙服を着て外に出る。
そうしないと、バルベル号にいるナジュと話ができないからである。
俺はナジュの指示に従って、大量にある残骸の中から無傷のハイパードライブ・ユニットを見つけて取り外し、それをバルベル号まで運ぶ。
バルベル号の破壊されたハイパードライブ・ユニットは、有質量弾の貫通によって歪みが発生しており、取り外すのに苦労した。
しかし、ナジュが歪んだ部分を切断したことで、容易に取り外すことができるようになった。
俺は外からゆっくりとハイパードライブ・ユニットを取り出すと放棄する。
そのまま戦艦から持ってきたハイパードライブ・ユニットを、破壊されたハイパードライブがあった場所にゆっくりと入れてやる。
そこまでやったら後のことは簡単で、すべてナジュがやってくれた。
短時間でハイパードライブ・ユニットの交換は完了する。
「これで終わりか?」
無線越しに俺が確認すると。
「ああ、よくやったよ、あんた。中々見込みあるよ」
嬉しそうにナジュが答える。
思いっきり上から目線で褒められて、まったく嬉しくもなんともない俺としては、この言葉をスルーすることに躊躇する理由はなかった」
「どうやら、余裕がありそうだな。それではついで仕事になるが、頼んでたことやってもらえるか?」
俺はたぶん忘れてるだろうなと思いながらナジュに頼む。
「えっ? ついでって、何?」
やっぱり忘れてたのでもう一度同じ話をする。
「情報が欲しい。そこらの情報端末から、作戦行動の記録を引っ張り出してくれ」