第03話 ドラゴン・オリジンズ - 06 - 希望03
第03話 ドラゴン・オリジンズ - 06 - 希望03
「そんなことは承知している。俺はかつてドラゴンと呼ばれていた生命体と闘ったことがあるからな。お前とシリンは今回連れて行かん。足手まといは御免こうむる」
俺が言うと、ルーファも素っ裸のまま床を拭いた雑巾を洗っているシリンもあからさまにほっとした表情を見せる。
だが、ここで甘い顔をすればこいつらをつけあがらせることになるので、きっちりノルマを設定してから出かけることにする。
「俺とチロが帰ってくるまでに、作りかけの料理を完成させておけ。もし、できていなかったり、クソマズかったりしたらお前らのケツを赤く染め上げてやる」
俺が宣言したとたんである。ルーファが信じられないといった顔で俺を見る。シリンにいたっては、なんと口答えを始めた。
「なんだよそれっ! あたしには、関係ないじゃんか!」
俺はシリンが反応できない速度で近づくと、パンティ一枚身にまとっていないおしりに平手を一発打ち込む。
パシッ! っとけっこう派手目な音が鳴った。
「いたあっ!」
お尻の音以上に盛大な悲鳴が上がる。もちろん、そんなものは無視だ。
「泣き言は一切みとめん。自分の尻が可愛かったら、まともに食えるものを作ることだ」
俺が言った言葉は最後通牒であった。まだ、これ以上何かぐちぐち言うようなら、すぐにでも実力行使をするための用意がある。
さすがにシリンもそのことを悟ったのだろう、恨めしげな目で俺のことを見たが何も言わなかった。
「よし、ではルーファ。リビングに召喚ゲートを開いてくれ。帰りは……そうだな、チロ、ドラゴンの血が手に入ったらお前できるか?」
今のチロは、アンデッドであるから死なないですんでいるような状態である。シリンに話を振ったのもそのためだ。
もし、力が全快したのなら帰りはチロがやれるんじゃないかと思ったのである。
「はいっ。ご主人さま!」
俺が言うと、チロは、いつものように嬉しそうに、しっぽを振りそうな勢いで答える。
しかし、ここで不安が生じる。
こいつの、『はいっ、ご主人さま』的なノリはほとんど条件反射のようなものだ。すぐに信じていいようなものではない。
あらためて、きちんと確認をしておく必要はあるだろう。
「もう一度聞くぞ。むこうの世界でドラゴンの血を入手した後、お前は帰還ゲートを開くことは可能か?」
俺はさらに曖昧さを消した表現に変えて再度質問をした。




