第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 49 - 矛盾
第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 49 - 矛盾
ナジュは思いついたらしく、俺に確認を求めてきた。
「そうだ。ちなみに、襲撃してきた無人機の残骸も同時に消えている。これが何を意味するのか分かるか?」
多分わかんないだろうな、と思いながら質問してみると。
「えーっと。そりゃあれだ。あれがそうなってこうなって……わかんないや」
ということらしい。
まぁ、俺としてはまったく期待していなかったが、もう少し自分の頭で考えてもよさそうなものだとは思う。
ただまぁ、考えるそぶりを見せただけでも良しとすべきだろう。
もちろんめんどいので言わないが。
「禁止事項を覚えているか? その一つ目、他の英雄に対する直接攻撃。直接攻撃が実行されたとみなされると英雄失格となる。ってやつだ」
この説明もまためんどいが、さすがにこれは思い出してもらわなければ話ができないので話しておく。
「あっ。そうそう、それそれ」
ナジュはいかにも今思い出しましたふうに答えはしたが、本当にそうなのかは怪しいものだと俺は内心思っている。
「思い出したならそれでいい。それで、一つ重要なことに気づくだろう」
俺は分かっているだろう感を出して言ってはみたが、単なる雰囲気作りの会話であって、本当にナジュが自分で気づくなん思っていない。
「重要なこと? んっ? あ、そうそうあれだよね、あれあれ」
やはり何も気づいている様子はなかった。
まぁ話に、乗っかってくれたのなら、細かな説明をはぶけるのでそれはそれで助かる。
正直、細かい説明をしても聞き流されるだけなので、そんな無意味なことはしたくないのだ。
「そう、その通り。存在そのものが消えたのに、俺たちには襲撃の記憶は残っている。それだけでなく、襲撃してきた無人機の残骸は消滅しているのに、ハイパードライブ・エンジンは破壊されたままだ。もし、その存在が完全に消えたのなら、記憶が残るのはおかしいし、ハイパードライブ・エンジンが破壊されたままということはありえない。そこら辺の理屈はわかるよな?」
俺は手取り足取り丁寧に説明してやる。
ただ、それでも俺はナジュの理解力をけっこう疑っていたので確認だけはしておく。
「あっ? ああ、そうだね、そうだそうだ」
確認しておいて正解だったようだ。