第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 45 - 離脱
第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 45 - 離脱
今もそうだが、俺にとっての目標は他の英雄などではない。
ことの初めからずっと、白ハクの創造主である高次元の存在。
白ハクがイニシエーターと呼んだ連中が俺の目標である。
だが、そう考えて行動することをわざわざ白ハクに教えてやるつもりはない。
本当の所はその背後にいるイニシエーターに教えたくないわけなのだが。
とりあえず、これまで完全に謎に包まれていた敵のシッポは捉えた。
今はこれで一旦引く。
これからは英雄同士の直接対決が始まることになる。
俺が直接行動を起こさなくても、次第に見えてくるはずであった。
だが、何が見えるかまではわからない。
重要なのは見えた瞬間、確実にそれを知ることができるようにすることだ。
今のままでは、それはできない。できるだけ早急に準備をする必要があった。
なので、ここは適当に流しておくことこそが最良の選択である。
「そうしてくれることを願っているよ。君と君の相棒のためにもね」
白ハクは言い終わると同時に姿を消した。
気や気配を探ったところで無駄なことなので、俺はすぐに脱出するための行動を再開する。
実際にとった行動はこうだ。
いったん脱出ポッドに乗り込むと、緊急脱出シーケンスをスタートさせて、ハッチが閉まる前に外に出る。
脱出ポッドが排出された直後、エアロック内にいた俺も外に出る。
エアロックが作動したことは後でわかるだろうが、脱出ポッドが無人であることがわかれば誰もが誤作動だという結論に落ち着くだろう。
つまり、俺が侵入して脱出した形跡をこれで消すことができる。
ここまで徹底したスニーキングミッションに徹するのは、もちろんこの戦艦に英雄が乗り込んでいたからだ。
これが暗殺であることが分かっては、妙な嫌疑が英雄にかかってしまうことになりかねない。
それを避けたかったのである。
実際には完全とはいえなくても、かなりいいところまでいったはずである。
スニーキングミッションは俺の得意分野ではない。チロがやればもっとうまくやっただろうが、俺ができるのはこの辺りが限界である。
いずれにしても、いったん引き返す。
気を探るとナジュは元の場所から相当離れた場所にいる。どうやら、何者かと交戦状態にあるようだ。
俺が接近すると、三機の攻撃機によって襲撃を受けていた。
気を感じないので無人機なのは間違いない。