第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 40 - スニーキングミッション
第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 40 - スニーキングミッション
そして、その破片を旗艦の後部ハッチ付近にあまり強くならない感じで投げつけた。
破片は、うまい具合にハッチを逸れて、艦体外郭に突き刺さる。
しばらく待つと、エアロックが開き二人の乗組員が出てきた。
エアロックに直接影響がないかどうかを確認するために出てきたのである。
俺は、エアロックが閉まる直前に中に潜り込んだ。
さすがに、こんな方法で潜り込む人間がいるなどとは予想していないらしく、エアロックは普通に閉じて通路側のハッチが開く。
俺は気配を消してそこから出ると、スニーキングミッションを開始した。
戦艦の中は、細かく入り組んだ通路が多く、エアダクトも至る所にあるのでスニーキングミッションにはうってつけだった。
ただ、自由に動き回るためには、どうしても船体内部の構造を知る必要がある。
俺は最初に出会った乗務員を捉えると、手近な部屋に潜り込み気絶させた上でそいつの服とIDを奪う。
コンソールからメイン・コンピュータにアクセスするためのコードキーが必要だが、俺が捉えた乗務員にはその権限がなかった。
その権限を与えられるのは、少佐以上の階級からなので、次は該当する人物を探して捉えなくてはならない。
俺が今着ている服は下士官……少尉のものなので、移動に関してはけっこう自由が効いた。
もちろん、できるのは素通りするくらいで、止まって何かをするのはあまりにリスクが高すぎる。
早急に少佐クラス以上の乗務員を見つけて必要な情報を得る必要があった。
俺は気を頼りに動いているので、一人でいる誰かを見つけることは容易いが、見つけた相手の階級まではわからない。
そして、三人目に見つけた相手は、なんと准将であった。
艦隊の参謀長を務めていて、この男のIDにはアドミニストレータ権限が与えられていた。
最高機密にもアクセス可能な権限である。
とんでもない幸運である……と言いたいとろこだが、ラートラ共和国艦隊の動きがかなりおかしな具合になってきている。
手遅れになる前に急ぐ必要があった。
欲しい情報は山ほどあるが、このまま何もしないでいると、おそらくソーグ帝国艦隊は全滅してしまうことになる。
情報は惜しいが、そんなことを言っていられる余裕はなかった。
俺は准将権限で艦隊内部のマップを一通り確認すると、気絶させた上で移動を開始する。