第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 39 - 作戦
第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 39 - 作戦
その後の艦隊運用に関してはほぼ同じだ。
紡錘陣形をとりつつ、回廊の中に向かって駆逐艦を送り込む。
そして、回廊の反対側にいる敵艦隊の姿を捉えている。
まるでコピーしたかのように、ソーグ帝国艦隊と同じような動きであった。
俺が予想したとおりに、戦術目標は回廊突破に置かれていて、その他のことは優先順位を下に置いていた。
もちろん俺は、その作戦に対して異なる作戦立案をしてきた人物がいなかったのかを確認する。
いるにはいたが、一人きりだった。
そいつは俺やソーグ帝国側の英雄とも異なる作戦提案をやってきていた。
機雷を出口に敷設して、後退しつつ敵艦隊をそこに誘導する作戦であった。
俺もその案は一瞬脳裏に浮かんだが、それ以前に盛大な消耗戦をやらかさなくてはならないので、すぐに却下した。
だが、そいつが、その作戦を立案したのはおそらく、こうなることがわかっていたからなのだろう。
敵が総司令官を失い混乱している今、その作戦を実行に移せばほぼ成功間違い無しというところだが、ラートラ共和国艦隊はその作戦を採用しなかった。
味方側が優勢に立ったと判断したラートラ総司令官は、全軍に対して突撃を命じる。
ある意味それは正しかった。
おそらく、ソーグ帝国側の総司令官が存命のままだったなら、それで勝敗は決していただろう。
だが、この時俺は、ソーグ帝国艦隊の動きが微妙に変化したことを、気を探ることで感じていた。
間違いない。俺の想定通り、英雄の一人が艦隊の指揮を執っているのだ。
となれば、これから先の動きはすべて何かの作戦だということになる。
俺は気を探りつつ、ラートラ共和国艦隊の旗艦に乗り込むことにした。
位置はすでに特定できるので、移動はすぐだが問題は乗り込む方法である。
今までのような派手なやり方では、明らかに支障がでてくる。
なにしろ旗艦には英雄の一人が乗り込んでいるからだ。
そいつと直接対決するわけにはいかない。秘密裏に旗艦に潜入して、秘密裏に脱出する必要がある。
これは、スニーキングミッションであった。
こういった任務はチロが得意なのだが、さすがにないものねだりはできない。
自分でやるしかなかった。
俺は、近づく途中でフェイズ2まで落とした後、手近に漂っている十メートルほどの大きさの撃沈された戦艦の破片を拾う。