第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 38 - ラートラ艦艇
第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 38 - ラートラ艦艇
ようするに、俺がソーグ帝国側の英雄がとる作戦を読み切れるかどうかが鍵となる。
単純な力押しと違って、こればっかりはやってみなければ分からない。
もちろんフェイズ50位上の超越次元でのフェイズシフトを行えば時間を俯瞰して見ることが可能となるので、まるで本を読むようにすべての結果を見ることもできるが、それだとこのゲームをしかけた超越者と直接対決をすることになることは必然なのでとてもできたものではない。
宇宙一つが消滅するだけですめばいいが、ハイパー宇宙神と闘った時のように無数の宇宙を巻き込んで消滅させた後、全宇宙の再生作業など二度とごめんだ。
まさに、そうならないよう、今度の転生では慎重に慎重を重ねて闘ってきたのである。
こんなことくらいで、その努力を水の泡にはしたくない。
というわけで、俺はフェイズを6から4まで落としておく。
さっき艦橋を破壊したとき、限界ギリギリまで手加減していたのだが、気砲を放った瞬間に艦橋の前半分がすべて消滅してしまった。
フェイズ6でも、もう少し加減できると思っていたのだが、肉体を使うのと違って気のコントロールは難しい。
あまり自分を過信しすぎるのは良くないと反省したのである。
とりいそぎ、艦橋が生きたまま撃沈されたラートラ共和国艦艇を探し出す。
見つけたが、奇跡的に艦橋だけが生き残っている形だった。
中にはさすがに死体が多数浮遊している。
さっきのは特殊な例で、これが普通であるので特に驚くようなことはない。
死体をかき分けながら、あちこちのコンソールを操作して、どうにか動くコンソールを見つける。
ディスプレイに不具合があり、非常に見ずらかったが、それでもどうにか必要な情報を引き出すことはできた。
旗艦の位置と英雄の位置を特定する。
すると、どうやら英雄の一人は旗艦に乗り込んでいるらしい。
おそらく、参謀の一人として参戦しているのだろう。
これは非常にやっかいだ。
禁止事項に触れるので、俺は英雄に直接手は出せない。
つまり、さっきソーグ帝国艦隊旗艦でやったようなやり方は出来ないということになる。
ラートラ共和国艦隊総司令官を排除するためには、何か別のやり方を考える必要があった。
それと、わかりづらかったが、ラートラ共和国艦隊が回廊突入する辺りからの動きも確認した。
やはり時間的に僅差ではあったが、ソーグ帝国側よりも早く到着していた。