第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 36 - レポート
第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 36 - レポート
もし俺が帝国軍の司令官なら、回廊の出口で陣を張り出てきたところを側面から挟撃する。逃げるにしても、前進してから回頭して戦うにしても、確実に背後を取ることができるので、圧倒的に有利な条件で戦うことができるだろう。
まぁそれは俺の戦術なのであまり意味はない。
もちろん現実には、そんな展開にはなっていない。
俺は、コンソールを操作してこの突入が行われる前に、作戦案が提出されていないなかったかどうかを確認してみる。
すると、検索に三つのレポートがひっかかった。
レポート内の戦術図を見るに、そのうちの一つが俺が考えたものとほぼ同じであった。後の二つは紡錘陣形ではなく鶴翼陣形をとるように進言するものであった。敵が紡錘陣形をとってくるであろうことを予想しての陣形である。
Vの字の陣形をとることによって、突入してくる敵を両側から挟撃するような格好になるため紡錘陣形に対しては有利な陣形と言えた。
だが、その三つの作戦案が採択されることはなく、ソーグ帝国軍は紡錘陣形をとって突入を敢行した。
一方ラートラ共和国艦隊の方も、おそらくは似たようなことになっていたのではないかと推測されるが、回廊突破を作戦目標におき紡錘陣形のまま艦隊を航行させている。
ラートラ共和国艦隊の方は後で調べるとして、必要なのは今の作戦立案を行った三人である。
個人情報をなんとか引っ張り出して、今現在どの艦に乗船しているのかを特定する。
それをマップにプロットした上で気を探り実際の位置を把握する。
すると、ビンゴだった。
あの広間にいた英雄のうちの二人が、不採用になった作戦案を立案した立案者だった。
画像を見てみるとそのうちの一人は、俺が最初に注目したネコのほうだった。
提出した作戦案は、俺の考えたものに似たやつだ。
とりあえずこれで、英雄のうち二人が確認できた。
乗船している艦も特定できた。
当面必要な情報は得ることができたので、俺はすぐにでも動くことにする。
手っ取り早く艦橋正面の外殻をぶち抜いて外に出ると、まずはソーグ帝国艦隊の旗艦へと向かう。この艦に英雄が乗船していないことは確認済みなので派手にいく。
もちろん親切に向かい入れてくれるはずはないので、遠慮なく外殻をぶち抜いて内部に入る。
さすがに侵入者がいることはすぐに分かるらしく、小火器を手にした兵士達がわらわらと集まってきた。