第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 35 - 情報入手
第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 35 - 情報入手
というわけで、俺は自分で開けた穴を除いてほぼ無傷の状態の通路を移動すると、艦橋に入った。
途中隔壁が閉鎖されていたが、フェイズ6の俺にとってはティシュペーパーのようなものだ。障害と呼べるようなものではない。
俺は艦橋に入ると、コンソールを見つけて操作する。
文字は読めないが、ナジュに歴史の話をきいている時に、必要な文字の形は覚えている。
コンソールが起動すると、俺はすぐに周辺のマップを確認する。
すると、バルベル号で見たマップと違って、帝国軍の艦艇の配置をリアルタイムで確認することができた。
俺はその中から旗艦の位置を特定する。
マップの位置を確認しながら気を探って当たりをつける。
これで、旗艦の位置は特定できた。これで、よっぽどのことがない限り見失うことはないだろう。
次はもう少し、細かいとろこを調べてみることにする。
艦隊の構成と現在の作戦行動に関する情報だ。
もちろん俺が拾えるのはいくつかの単語にすぎないので、あまり深い情報を得ることはできない。
だが、当面その必要はないだろう。
なにしろ戦局は今まさに、リアルタイムで動いているからだ。
俺が知りたいのは両陣営の開戦から今までの、艦隊運用についてである。
それは、マップ上で時間軸に沿って艦隊の動きをみてみればすむことである。
若干の手探り状態ながら、俺はどうにか使用方法を探り当てることができた。
ソーグ帝国艦隊が、回廊に進入するところからの再生である。
当然だがこの時点では、ラートラ共和国艦隊の位置はマップに表示されていない。
ソーグ帝国艦隊は回廊進入前に、紡錘陣形をとり回廊突破を図る意思を露わにしている。
それと同時に、足の早い駆逐艦を先行して突入させている。
反対側から敵艦隊がくることは簡単に想定できるので、マニュアル的な対応である。
駆逐艦が敵艦隊の艦影を捉えて、一気に情報を送ってくる。
同時に、移動時にばらまいていた探査プルーブからも敵艦隊の情報が次々と送られてくる。
ラートラ共和国艦隊は、ソーグ帝国艦隊よりタッチの差で若干早く回廊に進入していた。
ソーグ帝国と同じく紡錘陣形を取り、一気に回廊突破を図る意図がありありと分かった。
すでにソーグ帝国艦隊も紡錘陣形を取っており、最大戦速で突入を開始する。
この時点で、正面からぶつかり合い激しい消耗戦になることは決定したと言っていいだろう。