第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 25 - ラートラ反抗同盟
第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 25 - ラートラ反抗同盟
皇帝サウラーはアリメイル銀河への侵攻を凍結し、すぐに大艦隊を差し向ける。
だがラートラ反抗同盟の艦隊を率いるセネドラ・オッドール中将は、まごうことなき戦争の天才であった。
ラートラ反抗同盟の戦力はわずか五万の艦隊。
それに対してソーグ帝国の艦隊が送り込んだ艦隊は実に二十万にも及んでいた。
その戦力差は実に四倍であった。
この時オッドール提督が取った戦法は、ゲリラ戦に近い手法であったが、宇宙空間での戦闘という特徴を最大限に活かしたものであった。
味方が支配する星系内部へと引きずり込み、多数の拠点を移動しながら、絶え間なく小規模の戦闘をしかける。じわじわとした出血を強いて長引かせていると、大艦隊故に補給が続かなくなる。
そこでソーグ帝国の大艦隊を指揮していたバジェリスク・イルグランダ大将は一気に敵拠点を破壊してしまう作戦をたてる。
補給や隠れ蓑となった拠点をすべて失えば、敵を包囲殲滅することは実に容易いとイルグランダ大将は判断したのだった。
そこで各拠点を同時に潰すべく艦隊を六つに分けて攻撃を開始する。
各艦隊の戦力が三万三千の艦隊を敵基地に向かわせたのだ。
まさに、この状況こそがラートラ反抗同盟艦隊を率いるオッドール提督の計略そのものであった。
各艦隊が拠点に到着した時点で、オッドール提督率いるラートラ反抗同盟艦隊がイルグランダ大将が乗船している旗艦アデレードのいる艦隊へと襲いかかった。
三万三千の艦隊に五万の艦隊が襲いかかったのだ、まず数の優位で圧倒できる。さらに、後方から完全に不意打ちする形になり、ろくな反撃もできないままイルグランダ艦隊は壊滅状態に陥ってしまう。
そして旗艦アデレードはラートラ反抗同盟艦隊による集中砲火を浴びて撃沈されてしまう。搭乗していたイルグランダ大将は旗艦アデレードと共に宇宙の塵となった。
総司令官を失ったゾーグ帝国艦隊は、それぞれの艦隊指揮官に判断を委ねられることになる。
統一した指揮系統を失ったゾーグ帝国艦隊は、数でこそラートラ反抗同盟艦隊を上回っているものの、それは三万三千の艦隊が五つ存在しているに過ぎなかった。
オッドール提督はラートラ反抗同盟艦隊を指揮して、掃討戦も行わずに次々とソーグ帝国艦隊を撃破していく。