第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 24 - 歴史
第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 24 - 歴史
「言っとくが、俺は君に楽をさせるつもりはない。それに、君だけが働いていないとなると、当然君だけが禁止事項に該当することもありえる。実際にはやってみなければわからんが、君も自分自身の存在を使って実験するつもりはないだろう?」
俺はたっぷりと脅しを含めて警告してやった。
「わ、わかった。わかったよ。もちろん喜んで協力するって。誰も協力しないなんて言ってないんだからさ」
俺の話しを聞いたナジュは、打って変わって積極的になっていた。
あまりに前のめりになりすぎてもらっても、それはそれで問題が出ることになるので、このくらいが丁度良さそうだ。
「なら、さっそくに頼む。まずはソーグ帝国の歴史から始めよう」
俺はナジュを促して必要な情報を集め始める。
「わかった。建国の辺りからでいい?」
俺は頷きながら、ナジュの手元のコンソールに触れて、自分用のイスをナジュが座っているシートの隣に移動させる。
さっきナジュがやっていたこところを見ていたので、すでにやり方は分かっていた。
「ああ、それでいい。初めてくれ」
俺はイスに腰掛けながらナジュにソーグ帝国の歴史を語るように促した。
ナジュにはどの部分が大切なのかということなのかは分からないので、ありったけの情報を話させることになった。
さすがに時間がかかったが、おかげでソーグ帝国の概略がわかってきた。
それを自分の中で纏めてみるとこういうことだった。
ソーグ帝国の建国は今から千年前にまで遡る。
エルミシウム銀河の中心部に存在する、ラテルーデ星系を中心とした星系連邦国が母体となって誕生した。
始祖はサウラー・ド・ハイネンベルク。
サウラーは軍事の天才であり、またたく間に星系連合国を滅ぼしてソーグ帝国を建国すると、すぐにエルミシウム銀河の統一へと乗り出した。
そして、わずか三年の月日でエルミシウム銀河は統一されてしまう。
これが、現在にまで続くソーグ帝国の版図となったのである。
そして、エルミシウム銀河を統一したソーグ帝国は、その勢いを借りて近隣の銀河であるアリメイル銀河に支配の手を伸ばそうとした。
だが、ここで問題が起きる。
あまりに強烈な弾圧を続けた皇帝サウラーに対して、反旗を翻す星系連合が現れたのである。
これがエンドミア星系を中心として、ラデラ星系、ウムニ星系の三つの星系が同盟を結んだラートラ反抗同盟である。