第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 12 - 調べる
第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 12 - 調べる
俺はわかりやすく、上下のカードの中からそれぞれ1つずつ指差して尋ねる。
「へーっ。あんた、文字読めないんだ。へーっ」
嬉しそうにナジュがそんな事を言った。
たぶんこんな反応をするんだろうな、とは思っていた。ただ、あまりに想像通りの反応だったので、若干テンションが下がる。
ナジュが闘いの中で、あまり役に立つそうもないという証明でもある。その分俺の負担が増えるという現実を確認することになったので、テンション下がるのもやむなしといったところだ。
もちろん、そんなことをわざわざ伝える必要もないので、俺はやるべきことをやらせることにする。
「時間制限があることを忘れないほうがいいぞ。存在を消されたくなければの話しだが」
どうでもいい勝利を喜んでいるナジュに対して、俺は簡単な事実の指摘をしてやる。
「あっ! そうだった。ヤベェよヤベェよ」
ナジュはいきなり慌てだす。
まさかとは思っていたが、やはりそのことをすっかり忘れていたようだ。
「こいつと、こいつだ」
俺はもう一度改めて、二つの顔写真付きのプロフィールの説明を求める。
「わかったよ。えーっと、こっちのネコはコーグ・ド・ファリスって書いてあるよ。ソーグ帝国軍に所属しているらしいね。分かるのはそのくらいかな」
なるほど、今この宙域で戦っている勢力の片方はソーグ帝国の宇宙艦隊ということだ。
「こっちはリン・コウネ。ラートラ共和国出身のようだね」
どうやらこっちはラートラ共和国艦隊にいるようだ。
「わかった、ありがとう。次は今の二人をクレアル海周辺のマップにプロットしてくれ」
俺はすぐに次の指示を出す。
「お、お礼なんていいよ。あたいは別に、あんたのためにやったわけじゃないし……。ほらでたよ」
なぜかナジュは少しばかり焦ったような感じになりながら、素直に俺の指示に従った。
俺はナジュが出してくれたマップを確認して大体の状況を把握する。
そのマップを見ると、気を探るだけでは分からなかった様々なことがわかってくる。
今この宙域で戦っているのは、ソーグ帝国とラートラ共和国という二つの国家に所属するそれぞれの宇宙艦隊である。
二つ艦隊の間には、まるで巨大な壁のようにメタンの雲と、その中には無数の細かな岩石が漂っている。
細かいと言っても、ほとんどの岩石の一片が数キロメートルに達していて、簡単に排除できるようなものではない。