第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 11 - 個別データ
第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 11 - 個別データ
つまり、同じような質問であっても、答えないのは質問のやり方を間違えている可能性があるということである。
もう一つ質問をしてみる。
「すべての英雄の個別データをもらえるか?」
さて、この質問はどうだろう。
本気で闘わせるつもりがあるのなら、この質問に答えるはずなのだが。
「この船のコンピューターに転送したよ」
白ハクはさっきと全く同じ答えを返してきた。
俺はここでナジュに働いてもらうことにする。
「ナジュ確認してみてくれ」
指示を出すと、ナジュは嫌な顔をする。
「何命令してんだよ? あたいは海賊だよ?」
海賊がどんな関係があるのかとつっこみたいところだが話しがめんどくなるので、とりあえず無視する。
「確認してみてくれ」
もう一度強めに言ってやる。
自分で考えたくない癖に、こっちの指示を聞かないという面倒なタイプのようなので根気よく付き合わなくてはならないだろう。
「ちっ。わかったよ」
舌打ちをして、ナジュは結局俺の指示に従う。
自分では何も考えていないので、最終的には俺の指示に従うしか無いのだ。
ただ、一度で指示に従ったら、プライドが許さないということなのだろう。
毎度毎度このくだりに付き合わされるのかと思うとうんざりするが、今のルールの中で目的を達成するためには慣れるしかないだろう。
「あっ。あったよ。近くで二つのチームが交戦中になってるよ」
確認したナジュはすぐに俺に報告してくる。
この辺りはけっこう素直なのだが、俺に考えさせるつもりなのはまるわかりなので手放しで喜べない。
俺ナジュが確認しているコンソールに近づくと確認する。
おそらく現在の周辺の状況を示しているであろう宇宙空間マップが表示されている。
その中にはたくさんの、まったく読むことができない文字が表示されていた。
「現在戦闘をやっているチームの情報をくれ」
俺はさらに指示を出すが、ナジュは言葉を返す前にもう動いていた。
画面が上下に分かれて、それぞれにカード形式で表示された顔写真とプロフィールが表示されている。
チームごとに上下にわけてあるのだろう。
なんと書いてあるのかはまったく分からない。
ただそれでも、見覚えのある顔があった。
もちろん、あの部屋の中で見た顔である。
「すまんが、これとこれに書いてある内容を読み上げてくれ。俺のスキルは文字には使えん」