第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 10 - 禁止事項
第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 10 - 禁止事項
俺は四つの禁止事項だけに絞り、わかりやすく要約した形でナジュに話して聞かせることにする。
イヤだろうがなんだろうが、ナジュはペアの相手である。
最低限のことは覚えておいてもらう必要があった。
なぜなら俺が困るからだ。
「とりあえず、これだけは守れ。他の英雄を直接攻撃するな、俺以外の英雄に手を貸すな、犯罪を犯すな、闘い続けろ。この四つだ。とりあえず、これだけ守っていれば当面存在を消されることはない。頭に刻んどいてくれ」
俺が告げると、ナジュは口の中で反芻するように四つの禁止事項を何度か繰り返した。
「わかった、けっこう楽勝だね。これで安心だよ」
胸をなでおろすナジュを見て、俺は若干めまいがした。
「おいおい、今の聞いてただろ。なぜ安心する? っていうか出来る?」
俺がそう言うと、ナジュはキョトンとした目で俺を見ていた。
「だって今の四つ、守るの簡単じゃん」
まぁそう言うだろうなというナジュのセリフに対して、俺は噛んで含めるように言ってやる。
「まず四つめの闘い続けろっていうやつ。俺達は一体誰と闘うんだ? そして一つ目の直接攻撃の禁止事項。どうやって闘うつもりだ?」
そう。まずは敵対する英雄を見つけ出さなくてはならない。
そして、見つけたとしても、直接攻撃が禁止されているのなら、どうやって闘えばいいのか。
今すぐにでも解決すべき問題が目の前にある。
「あっ! ヤバいじゃん。ガチにヤバいよ。どうするんだよ、ナルセ! なんか考えてよ!」
また焦り始めたナジュは、いきなり問題を俺にぶん投げてきた。
要するに、自分の頭で考えるつもりはまったくないということなのだろう。
反射神経で考える的なタイプの女なのかも知れない。
なんだか俺は、足かせを付けられたような気分になった。
まぁいい。あの部屋でも、公平な闘いではないと宣告されていた。
与えられた手札でなんとかするしかない。
俺はまず白ハクに確認してみる。
「他の英雄の情報はもらえるか?」
この質問に対する白ハクの反応は無だった。
まったく何も答えない。
俺は質問を変えるのではなく、今の質問に一つ条件を追加してみる。
「他の英雄の位置情報はもらえるか?」
この質問は必要な情報を得るためのものであったが、白ハクに関する情報を得るための質問でもあった。
「この船のコンピューターにマップ転送したよ」
白ハクが即答する。
やはり曖昧な質問には答えないようだ。