第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 06 - ナジュ
第08話 宇宙英雄伝説01 クレアル海回廊会戦 - 06 - ナジュ
なんの問題もなく呼吸できる、普通の空気であった。
通路側のハッチが開くと、俺は通路に出る。
非常に狭い通路がまっすぐ両サイドに伸びている。
片方がエンジンルーム、もう片方がコックピットにつながっているのだうろ。
俺は、艦首側と思われる方向へと歩いていく。
すぐに隔壁めいたドアに遮られて先にすすめなくなった。
ぶち壊すことは難しくないが、さすがにそれをやっちゃダメだろうという話なので、俺はおとなしく開くのを待つ。
ここまで誘ってきたのだ、ここでさよならということは無いはずである。
待つこと五分。若干苛ついてきた頃、目の前の扉が開く。
ただ、想像していたのとは違って、扉は二重になっていた。
手前は上に奥は下に動いて開いた。
扉の向こうは想像していた通り、コックピットであった。
ただ、戦闘機のようなコックピットではなく、一人乗りの艦橋という感じである。
中にいたのは、俺が考えていた通りの人物であった。
「よく来たね」
余裕のあるシートにゆったりと座ったまま、予想していより随分とかわいい声で話しかけてきた。
あの部屋の中で俺以外にいたヒューマノイドで唯一の女性である。
最もあの中で性別が分かるのが、一人しかいなかったということは間違いないが。
「俺は鳴瀬、鳴瀬和美。君の名前を教えてくれないか?」
まず最初に名前を名乗ることから初めた。
こういうことは最初にやっておかないと、会話がこなれて来てしまったらタイミングを失ってしまうことがよくあるからだ。
今更聞くに聞けないってやつである。
「あたいはナジュ。見ての通り海賊さ」
見てもまったく理解できないが、自称海賊ということらしい。
ここで否定したところで、なんの益もないのでひとまずその前提で話を進めていくことにする。
「なるほど。それで、俺になんの用だ?」
突き放したような言い方になったのは、ここ最近美少女系の人物に対して警戒心ができいるためだ。
「はぁ? わざわざ助けにきてやったのに、そういう言い方する? あんたツンデレか? デレのないツンデレか?」
ナジュはえらくノリのいい自称海賊さんのようだ。
「それで?」
俺は短く尋ねる。期末試験直前に問答無用でさらわれたのだ、正直言ってこのノリに付き合う気分にはなれない。